国土交通白書 2022
第5節 危機管理・安全保障対策
■2 事故災害への対応体制の確立
鉄道、航空機等における多数の死傷者を伴う事故や船舶からの油流出事故等の事故災害が発生した場合には、国土交通省に災害対策本部を設置し、迅速かつ的確な情報の収集・集約、関係行政機関等との災害応急対策が実施できるよう体制整備を行っている。
海上における事故災害への対応については、巡視船艇・航空機・大型浚渫兼油回収船等の出動体制の確保、防災資機材や救助資機材の整備等を行うとともに、合同訓練等を実施し、関係機関等との連携強化を図っている。また、油等防除に必要な沿岸海域環境保全情報を整備し提供している。
その他、海上における船舶の海難に伴って発生する油等の汚染や難破物除去等の損害に関し、船舶油濁等損害賠償保障法により、船舶所有者等の賠償責任、船舶所有者に対する保険者との保障契約締結義務が課せられており、地方運輸局等において、保障契約証明書の交付、入港予定の外航船舶から通報される保障契約情報の確認により、無保険船舶の排除を行うとともに、船舶の海難等からの被害者保護を図り、海上輸送の健全な発達に寄与している。
また、タンカーの事故により油濁損害が発生した際、船舶所有者等の賠償責任を超える被害に対する補償を行う等の国際的な枠組みである国際油濁補償基金(IOPCF)において、我が国は最大拠出国の一つとして、基金の運営をリードし、世界各地で発生する油濁損害対応に大きく貢献している。