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国土交通白書 2023

第1節 直面する課題とデジタル化の役割

■5 脱炭素社会の実現に向けたエネルギー利用の効率化

(1)社会経済の課題

①脱炭素社会の実現に向けた課題

 我が国は、2030年度に温室効果ガス46%削減(2013年度比)や2050年カーボンニュートラルの実現を目指し取組みを加速化しており、その一つとして消費エネルギーの削減を図ることが課題となっている。

 国土交通省「国民意識調査」では、国土交通分野のデジタル化による産業競争力や付加価値の向上に対して期待するものについてたずねたところ、「省エネや創エネ等を活用し環境に配慮した建築物(ZEH・ZEB等)や交通機関(EV、FCV等)の整備」については、期待している(とても期待している、やや期待している)と答えた人の割合が7割を超え、環境分野への期待がうかがえる。

図表Ⅰ-1-1-23 デジタル・トランスフォーメーションによる産業競争力や付加価値の向上への期待
図表Ⅰ-1-1-23 デジタル・トランスフォーメーションによる産業競争力や付加価値の向上への期待

資料)国土交通省「国民意識調査」

 また、スマートシティの分野で積極的に取り組むべきものについてたずねたところ、「新技術の応用によるエネルギーの総使用量の削減や、再生可能エネルギーの普及を進めるべき」との項目について、そう思う(とてもそう思う、ややそう思う)と答えた人の割合が約8割であり、エネルギー効率化の取組みへの期待がうかがえる。

図表Ⅰ-1-1-24 スマートシティの分野で積極的に取り組むべきもの
図表Ⅰ-1-1-24 スマートシティの分野で積極的に取り組むべきもの

資料)国土交通省「国民意識調査」

(2)デジタル化の役割

 デジタル化によるエネルギー利用の効率化により、脱炭素社会の実現を図ることが求められる。

①デジタル化によるエネルギー利用の効率化

 デジタル化によって、エネルギー利用の効率化を図ることが必要である。例えば、家庭や企業など社会全体でICTを活用することで業務効率化や人・物の移動の削減などを図り、グリーン社会の実現を促進することも期待される(ICTによるグリーン化)。また、電化による自動制御や、デジタルツイン・プラットフォーム等の活用により、サプライチェーンや流通業における消費電力や二酸化炭素排出量を削減する取組みが必要である。企業のみならず一般家庭も含めた様々な活動の中で、ICTを用いて環境情報の計測及び予測を行いつつ、エネルギー利用効率の改善、人・物の移動の削減を図ることも重要である。さらに、デジタル技術の活用により、太陽光等の発電ポテンシャルの開拓を通じた再生可能エネルギーの普及拡大等により、地域単位で二酸化炭素排出量を削減することも期待される。