
国土交通白書 2023
第2節 デジタル実装の現在地と今後への期待
コラム 物流施設における機械化・自動化を通じた省人化(ピッキング用ロボット)
物流施設における業務については、人手不足の懸念もある中、自動化・機械化を図ることによる省人化が期待されるところ、現状では多くの人手がかかっている。
例えば、倉庫業務のうちピッキング作業は、倉庫内の棚から必要な商品を取り出し、配送用ボックスに格納するという荷積み作業が必要であるが、倉庫内を人が徒歩で移動し棚から商品を取り出し、荷積み作業者に受け渡すといった労働集約的な性質を有する。このようなピッキング作業に「ピッキング用ロボット」を導入することで、商品を指定すればロボットが商品を格納したコンテナを自動的に判別し、必要なコンテナを搬送し、荷積み作業者に受け渡すことが可能となっている。これにより、作業者は移動することなくピッキング作業を行えるなど、作業員の業務がロボットにより支援・補完され、省人化が可能となり、生産性の向上や労働環境の改善等が図られる。
三井不動産(株)の物流施設「MFLP船橋Ⅲ」では、2022年より、倉庫業務にピッキング用ロボット(3次元ピッキングシステム)を導入し、倉庫業務のうちピッキング作業の機械化・自動化が可能となったことにより省人化が図られている。
今後とも、このようなロボット等の先端技術の活用により、既存のオペレーション改善や働き方改革を図っていくことが期待される。

3次元ピッキングシステム: (株)IHIにより仏国ユニコーン企業と協働でシステム構築が行われ、ピッキングをする人のもとへ、対象のコンテナを連続的に供給することが可能となるシステム。作業環境によるが、このシステムを導入することで、従来の人手のみによる作業と比べ、約5倍の速度で荷積み作業が行えるようになることが見込まれる。
資料)(株)IHI