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国土交通白書 2023

第2節 デジタル実装の現在地と今後への期待

コラム ドローンと配達ロボットが連携した配達実証実験(日本郵便)

 日本郵便(株)は、年間200億通程度の郵便物を配達しており、毎日20万人程度が配達員として従事しているが、今後は人口減少や少子化などにより、人手不足になる可能性がある。

 また、過疎地域では、ラストワンマイルは、配達する荷物を車で複数回往復して配達している実態がある。このような地域における配達を将来に亘って持続可能なものとするため、ロボット・ドローン等による配達の効率化を目指して、2016年度からドローン等の実証を開始した。

 例えば、東京都西多摩郡奥多摩町にある奥多摩郵便局では、峰集落をはじめ管内に山間地の集落を複数箇所抱えており、管内における標高差は約240m、集落から奥多摩町の中心部にある奥多摩郵便局まで約15km、車で約30分かかる。そのため、郵便物の配達にはこうした集落を回って戻るのに多大な時間と労力がかかるとともに、冬季の路面凍結や降雪があると、山間地への配達が難しくなるといった課題があった。これらの課題解決に向けて、2019年3月にドローンによる個人宅宛てのラストワンマイル配達の試行を実施し、さらに2021年12月より日本初となるドローンと配達ロボットを連携させた配達の実証実験を実施している(2023年3月現在)。具体的には、ドローンにより、郵便局から中継地へ荷物を空輸した後、中継地で荷物を積みかえ、中継地から住宅まで配達ロボット(UGV)が集落の道路を走行して住宅まで届けている。

 こうした配達ネットワークの高度化を通じた省人化・効率化の取組みにより、今後特に人手不足が懸念される山間地において、物流の持続性確保に貢献することが期待される。同社は、今後、2022年12月に実施可能となった「レベル4飛行」(ドローンの有人地帯における補助者なし目視外飛行)の実現に向けて技術開発を進め、2023年3月24日に第三者上空(有人地帯)を含む飛行経路での補助者なし目視外飛行(レベル4)を日本で初めて実現し、今後の社会実装に向けて取り組んでいくこととしている。

<ドローンによる配達>
<ドローンによる配達>
<配達ロボットによるラストワンマイル輸送>
<配達ロボットによるラストワンマイル輸送>
<連携機構>
<連携機構>

連携機構の上部は、クッション性を備えたすり鉢状になっていて、ドローンが投下した荷物を受け止め、中央の穴から配達ロボットの荷台に落とす仕組み。

資料)日本郵便(株)