
国土交通白書 2023
第2節 デジタル実装の現在地と今後への期待
コラム 自動運転等の新技術の貨物輸送への活用
(「Cargo Sous Terrain(CST)」、スイス)
スイスにおける貨物輸送量は、2010年から2040年にかけて最大37% 増加(同国政府予測)する見込みもあり、将来的な輸送能力の不足が懸念されている。
そうした中、スイス主要都市間を結ぶ新たな輸送ルートとして、地上の既存の輸送インフラに加え、新たに、地下空間に全長500kmに及ぶ貨物輸送用のトンネル網を建設するプロジェクト(CST)が構想されている。これは、運輸、物流、小売、電気通信、エネルギー分野の多数のスイス企業からなる民間部門による出資で立ち上げられ、同国政府が法制度等の面から支援し、民間が整備・運営を行うものである。
CSTが導入されると、全路線(ジュネーブ~ザンクト・ガレンルート)運営時には、総重量3.5トン超の中型・大型トラックで運ばれる国内貨物台数の約40%、鉄道で運ばれる国内貨物台数の約15%が地下空間での輸送に転換されることが見込まれており、貨物輸送能力の改善や輸送ドライバー不足の解消等が期待されている。
今後、2045年全線開業に向け、まずは2031年にチューリッヒ~ヘルキンゲン・ニーダービップ間の約70kmの開業を目指して取り組むこととしている。

©Cargo Sous Terrain(CST)
CSTは、地下20~100mの深さに直径6mのトンネルを整備し、内部が温度管理されたモジュラー型の輸送ユニットが貨車レーンを時速30kmで走行、トンネル上部には小型荷物専用の輸送レーンを設置し、時速60kmで走行させるプロジェクトである。輸送ユニットは全自動で365日24時間走行するとともに、通常の貨物に加え、生鮮品や冷蔵品等の輸送が可能である。
【関連リンク】
CST URL:https://www.cst.ch/