
国土交通白書 2023
第2節 デジタル実装の現在地と今後への期待
コラム デジタルプラットフォームを活用したまちづくり
(Decidim、スペイン・バルセロナ市)
バルセロナ市は、人口約160万人のカタルーニャ州の州都である。公共施設の管理や公共交通の運営、防犯対策といった公共サービス提供等にIoT技術を活用する等、2000年頃からスマートシティープロジェクトに取り組んでいる。2014年には、欧州委員会により情報通信技術を活用してイノベーションを最も推進する都市(iCapital)に選定されている。また、2016年の「バルセロナ・デジタルシティ計画」(バルセロナ市議会)では、「真に民主的な都市では、市民の生活の質を向上させるため、市民の公共サービスへのアクセスを促すべき」との方針が示されている。
このような中、市民参加型のデジタルプラットフォームである「Decidim」が、2016年から運用開始されている。Decidimを活用することで、バルセロナ市民は、提案・議論・投票などオンライン上でまちづくりに関する市政のプロセスに参加することが可能となり、Decidimにおける施策検討の経過や結果は一般に公開されている。
Decidimには、これまで15,000人以上の市民が参加し、約10,000以上の提案が寄せられ、その多くが採択されている。例えば、バルセロナ市・ライエターナ通りの車道を自転車専用道路や歩道に置き換えることで自動車の交通量や汚染物質の排出量を低減する取組みや、公共広場におけるダンスや音楽のためのアーティスティックな空間の創出、リサイクル素材を使用したベンチや椅子の設置促進など、多岐に亘る分野で市民の意見を取り込みながらまちづくりが展開されている。
こうした市政運営プロセスへの参加を促すオープン型のデジタルプラットフォームの活用により、市民の多様な意見がまちづくりに反映されることが期待される。

ライエターナ通り(車道を減らし歩道拡幅等を実施)

幅員変更後の道路断面図
©Barcelona City Council
【関連リンク】
Decidim.Barcelona URL:https://www.decidim.barcelona/