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国土交通白書 2023

第1節 国土交通省のデジタル化施策の方向性

コラム サプライチェーン全体の最適化に向けた取組み
(デジタルプラットフォームの構築、NIPPON EXPRESSホールディングス㈱ほか)

 今後、人口減少などに伴う担い手不足や、カーボンニュートラルなどの社会環境が変化していく中、物流は経済社会を支える基盤であることから、NIPPON EXPRESSホールディングス(株)では、サプライチェーン全体を効率化するデジタル化に取り組んでいる。同社は、物流業界に中長期的に起こり得る変化を予測して、将来像からバックキャストして経営戦略を立てる一方で、社会や物流業界を取り巻く状況は、時事刻々と変化しているため、定点観測して逐次修正しながら事業を進めている。

 このような中、日本通運(株)は、今後は各産業を超えた社会全体での効率的で環境に配慮したサプライチェーンが求められる社会が到来すると予測しており、その第一歩として、企業ごとの個別最適サービスとは異なる、各産業に共通する課題を見つけて解決を図るオープン型のデジタルプラットフォームの構築に力を注いでいる。同社は、まずはGDP注1対応が求められる医薬品業界において、温度管理や偽薬混入防止を担保しながらサプライチェーン全体のトレーサビリティを実現するプラットフォーム構築を進めている。

 プラットフォーム型サービスは、リスクや変化の激しい時代に有効で、オープン型にすることですべての関係者が一つのプラットフォーム上で作業することができ社会効率性が高まるとともに、コロナ禍のような事態が発生した際も、関係者がワンチームとなって対応することが可能になることが期待されている。

  1. 注1 GDP(Good Distribution Practice):医薬品の適正流通基準