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国土交通白書 2023

第9節 土地政策の推進

■1 土地政策の動向

 人口減少等に伴い、相続件数の増加、土地の利用ニーズの低下と所有意識の希薄化が進行しており、不動産登記簿などの公簿情報等を参照しても所有者の全部又は一部が直ちに判明せず、又は判明しても所有者に連絡がつかず、円滑な土地利用や事業実施の支障となる土地、いわゆる所有者不明土地や、適正な利用・管理が行われず草木の繁茂や害虫の発生など周辺の地域に悪影響を与える土地の増加が懸念されている。

 これらの課題に対し、平成30年に所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議が立ち上げられ、同年の「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(平成30年法律第49号。以下「所有者不明土地法」という。)の制定、土地に関する基本理念として土地の適正な「管理」に関する土地所有者等の「責務」や、所有者不明土地の円滑な利用及び管理の確保に関する規定を追加した令和2年の「土地基本法」(平成元年法律第84号)の改正、3年の民事基本法制の総合的な見直しなど、政府一丸となって所有者不明土地に対する取組みを進めてきた。

 令和4年には、所有者不明土地の「利用の円滑化の促進」と「管理の適正化」に対応するとともに、これらの取組みを支える「推進体制の強化」を図る観点から、「所有者不明土地法」が改正された。同改正では、地域福利増進事業(地域住民等の共同の福祉又は利便の増進を図るため所有者不明土地を利用することができる事業)の対象事業の追加や、管理不全所有者不明土地等の管理適正化のための代執行制度の創設、市町村による所有者不明土地対策計画の作成や所有者不明土地利用円滑化等推進法人の指定を可能とする措置等が講じられた。あわせて、制度運用の参考となる基準や手続を示すガイドライン等を作成・改訂し、公表した。

 地籍調査は、市町村等が土地の境界、面積、所有者等を調査し明確にすることにより、災害からの迅速な復旧・復興やインフラ整備の円滑化等のほか、所有者不明土地の発生抑制等に貢献するものであり、その推進も重要である。

 第7次国土調査事業十箇年計画に基づき、令和2年の「国土調査法」(昭和26年法律第180号)の改正等で新たに措置された、所有者が不明な場合等の調査手続や、都市部での街区境界調査及び山村部でのリモートセンシングデータを活用した調査の手法について、4年には、市町村等への財政支援のほか、調査事例の横展開、手引きの作成、研修会の開催等に取り組み、着実にその活用が進展してきている。

【関連リンク】

人口減少時代における土地政策の推進~所有者不明土地等対策~

URL:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk2_000099.html