
国土交通白書 2023
第7章 美しく良好な環境の保全と創造
第1節 地球温暖化対策の推進
■1 地球温暖化対策の実施等
気候変動の影響により、自然災害が激甚化・頻発化するなど、地球温暖化対策は世界的に喫緊の課題となっている。我が国においては、「2050年カーボンニュートラル」の実現及び、2030年度温室効果ガス46%削減、さらに50%の高みに向けた挑戦を目標として掲げ、GX(グリーントランスフォーメーション)に係る取組みを加速化させている。成長志向型カーボンプライシングをはじめとする「5つの政策イニシアティブ」について議論するため、令和4年7月に官邸に「GX実行会議」を創設し、カーボンプライシングの基本的な考え方や脱炭素投資による経済成長等を示した「GX実現に向けた基本方針」(以下「本基本方針」という。)を取りまとめ、5年2月に閣議決定をした。本基本方針の中では、5年度から「排出量取引制度」を試行的に開始、10年度に「炭素に対する賦課金」を導入することが示され、その結果として得られる将来の財源を裏付けとした「GX経済移行債」を発行していくこと等が盛り込まれた。また、本基本方針に基づき、法制上の措置を盛り込んだ「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」が5月に成立した。
こうした中で、地域のくらしや経済を支える幅広い分野を所管する国土交通省では、民生・運輸部門の脱炭素化等に貢献するため、住宅・建築物や公共交通・物流等における省エネ化、インフラを活用した太陽光や水力、バイオマス等の再エネの導入・利用拡大(創エネ)、輸送・インフラ分野における非化石化等を推進している。