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国土交通白書 2024

第2節 未来につながる変革と持続可能で豊かな社会を目指して

コラム 人口規模が小さい地域への店舗出店(セコマグループ)

 セコマグループは、北海道を中心にコンビニエンスストアチェーン「セイコーマート」を展開しており、茨城県・埼玉県にも店舗を持つ。また、道内最大の店舗数(約1,100店舗)を誇っている。同グループが拠点を置く北海道は、人口減少・高齢化が全国平均より早く進んでおり、「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(過疎法)」(令和3年法律第19号)注1に基づき、道内の152市町村が過疎地域に指定されている(2023年4月1日時点)。このような地域では、住民の暮らしを支える生活サービス機能の低下が懸念されていた。特に、商店の閉鎖等により無店舗地域が発生し、生活必需品の日常的な購入に不便を感じる買い物困難者が増加していることは、道内の人口が少ない地域に共通してみられる課題であった。

 このような課題の中、自治体や地域からの出店要請に応じ、セイコーマートは人口規模が小さい地域に出店してきた。人口規模が小さい低収益の地域でも出店を可能にしている機能の一つが、北海道に特化したサプライチェーン及び内部化された物流機能である。同グループの事業は、コンビニの枠を越え、原料生産・製造、物流や情報システム開発、また小売店の運営に関わる様々な分野に拡大しており、(株)セコマがグループ会社の管理業務を行うことにより、独自のサプライチェーンモデルを構築した。中でも北海道は、町から町への距離が長いことから、物流の効率化が重要であった。そこで、同グループは、物流網の整備に注力し、継続的に多額の投資を行ってきた。これにより、道内に13か所の物流施設が配置された。加えて、自社工場も多く所有しており、物流センター間の配送後、工場に立ち寄り新たに荷物を積み込む、という工夫も行っている。このような取組みの結果、積載効率は約8割を維持している。

 このように、同グループの持つ物流網やサプライチェーンの強みを活かし、人口規模が小さい地域へ積極的に出店することにより、セイコーマートをはじめとしたセコマグループ小売店の、北海道内での人口カバー率は99.8%に達した(179市町村のうち175市町村)。サプライチェーン全体で収益を確保することで、人口規模が小さい低収益の地域への出店を可能にしている。道内で最も人口が少ない音威子府村においては、開店から20年経ち、人口が半減した一方で、売上は微増傾向にある。

 今後更に人口減少・高齢化が進展すると予測される北海道で、セコマグループは、地域からの出店要請があれば、物流の効率化による道内全域における小売事業の維持とグループ製造工場の連携に、引き続き取り組むこととしている。

<セコマグループの物流網と製造工場>
<セコマグループの物流網と製造工場>
<セイコーマート店舗外観>
<セイコーマート店舗外観>

資料)(株)セコマ

  1. 注1 過疎地域の持続的発展を支援し、人材の確保及び育成、雇用機会の拡充、住民福祉の向上、地域格差の是正並びに美しく風格ある国土の形成に寄与することを目的とする。人口の著しい減少に伴って地域社会における活力が低下し、生産機能及び生活環境の整備等がほかの地域に比較して低位にある地域を「過疎地域」としている。