
国土交通白書 2024
第1節 国土交通分野の現状と方向性
コラム インフラDXの推進(国土交通省 中国地方整備局)
中国地方では、2020年から2050年にかけて人口が半減する市町村が、全体の1割超と予測されている。特に、中山間地域や島しょ部等では、生活サービス機能の確保が難しく、地域の存続危機が迫っている。
建設業界においても、労働力不足が深刻化していくと予想されており、生産性の向上が急務である。
国土交通省では、インフラ分野のデータやデジタル技術を活用したインフラDXを推進しており、施工プロセスにおいても、ICT施工の導入等、業務効率化、生産性向上を図っている。2021年度より、順次、地方整備局の技術事務所に設置されたインフラDX推進センター(又はインフラDXセンター)では、地方公共団体を含む発注者及び民間技術者に対して、BIM/CIM活用や、ICT施工普及促進への各種研修・講習を実施しており、業界全体のDX普及を加速化させている。
国土交通省中国地方整備局中国技術事務所内に設置された中国インフラDXセンターでも、建設生産プロセスにおいて活用されているDX技術が体験できるなど、生産性向上に向けたDX技術の普及促進、人材育成に取り組んでいる。
管内における2022年度のICT活用工事実施率は84%であり、地域企業累計130社が、ICT施工を実施した。施工会社へのアンケート調査では、土工工事や舗装工事で、のべ作業時間が従来に比べて3割以上縮減するなど生産性向上が効果に表れている。具体的には、「小田川付替え南山掘削他工事」(土工)や「令和3年度下関国道維持出張所管内舗装修繕工事」(舗装工)等においてICT建機の活用、ドローンによる点群測量や3次元モデルの活用、レーザースキャナによる出来形管理の実施等の取組みが行われ、施工管理の円滑化や作業人員の削減といった効果がみられた。
今後は、ICT活用工事の実施企業において、工事施工の様々な場面へのICT技術活用の定着化や、施工データの見える化による効率的な施工管理に向けた取組み等、ICT活用への深化が必要となる。同センターでは、引き続き管内の建設会社への技術的なサポートの継続を通じ、地域の建設業界を支えていくとしている。


資料)国土交通省