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国土交通白書 2024

第1節 国土交通分野の現状と方向性

コラム 一般道と専用道を走行する自動運転車両(茨城交通(株))

 地域公共交通として欠かせない路線バス(乗合バス)は、人口減少や新型コロナウイルス感染症の影響により、輸送人員が減少し、収益面で課題があった。また、全国的にバスドライバー不足という課題もあり、路線維持が厳しい状況となっている。

 こうした中、茨城県の県央・県北地域で路線バスを運行する茨城交通(株)は、日立市内において、地域の公共交通維持に向けて同市、関係省庁と連携し、自動運転バスの実証実験を進めている。2018年度から実証実験が実施されている路線の「ひたちBRT」は、廃線となった日立電鉄線の跡地を利用した路線であり、「多賀駅前」から「おさかなセンター」を結ぶ全長約8.0kmのうち6.0kmが、廃線跡地に敷設された専用道路となっている。専用道路は一般道路とは分離されているほか、合流部にはバーゲートが設置され、誤進入を防いでいる。一般車両と混在する環境や交差点等は、自動運転車両の運転難易度が上がるため、自動運転の様々な検証に適した環境となっている。

 自動運転車両の走行に当たっては、車両に取り付けられた各種センサーによって安全を確保しつつ走行しており、さらにカメラやセンサー等の路側インフラを整備することにより、自動運転バスが走りやすい走行環境の実現を目指している。

 今後、同社が目指している一般道路を含むレベル4での自動運転サービスが可能となり、遠隔監視型で運転士なしでの運行が実現すれば、より柔軟な体制でのバスの運行が可能になる。また、同社はこのような取組みを通じて、基幹交通とハブを用いたネットワークの形成を目指すこととしている。

<実証実験で使用された自動運転バス>
<実証実験で使用された自動運転バス>

資料)茨城交通(株)