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国土交通白書 2024

第1節 国土交通分野の現状と方向性

コラム 自動運転・隊列走行BRT(東広島市・西日本旅客鉄道(株))

 東広島市は、市政施行以来、大学の統合移転や産業団地の建設等を進め、学生や企業の従業員の転入を促し、域内住民の増加に取り組んできた。このまちづくりを進める中で、BRT等による都市軸の強化を進めることが市の政策課題となっており、近年の乗務員不足の問題を含めた周辺部のバス路線の維持が大きな課題となっている。

 この課題を解決するため、同市は、西日本旅客鉄道(株)(以下、JR西日本)と連携協定を締結し、同社が開発する自動運転・隊列走行BRTの導入の検討を開始し、同市の都市軸を形成する幹線道路において実証運行を行った。この実証運行は、2台の自動運転車両(連節バスと大型バス)を用いて、自動運転レベル2での走行で実施され、「自動運転化した連節バスの公道での実証実験」、「バス車両が隊列を組んで走行する公道での実証実験」という2点において国内初の実証運行となった。

 実証運行で使われた自動運転車両(連節バスと大型バス)は、様々なタイプの車両で隊列走行することが可能な機能を有しており、隊列車両の台数を調整することで、朝夕の通勤・通学ラッシュ等のピークやイベント時等、バス需要の変動に応じて、柔軟な運行を可能にすることを企図している。

 また、この実証実験では、車両側にGNSS注1アンテナや、LiDARセンサ・カメラ等の装置を備え、さらに道路側に設置された通信装置が、車両の死角情報を補完し、情報を車両側へ伝達する路車協調システムも取り入れている。

 今後、同市は、自動運転・隊列走行BRTの実現を目指すこととしており、これが実現すれば、都市交通としての公共交通ネットワークの向上や、現行のバスドライバー不足解消に向けて、重要な役割を果たすことが期待されている。さらに同市は、その先にある「東広島市次世代学園都市構想」の実現に向けて、多様な価値や交流の創造に貢献する交通システムの構築を目指し、JR西日本を含む関係機関との連携を進めている。

<連節バス・隊列走行>
<連節バス・隊列走行>
<連節バス・隊列走行>

資料)東広島市

  1. 注1 GNSS(衛星測位システムの総称)から受信する信号を利用してRTK測位(相対測位)を行うことで高精度測位を実現する技術