
国土交通白書 2024
第5節 北海道総合開発の推進
■1 北海道総合開発計画の推進
(1)北海道総合開発計画について
我が国は、北海道の豊富な資源や広大な国土を利用し、国全体の安定と発展に寄与するため、明治2年の開拓使設置以降、特別な開発政策の下、積極的に北海道開発を推進してきた。
「北海道開発法」(昭和25年法律第126号)制定後は、同法に基づきこれまで8期にわたり北海道総合開発計画を策定し、国民経済の復興や人口問題の解決をはじめ、産業の適正配置、エネルギーや食料の供給、観光等、その時々の国の課題の解決に貢献するとともに、地域の活力ある発展に寄与してきた。令和6年3月、新型コロナウイルス感染症の拡大や2050年カーボンニュートラルに向けた国の政策展開、さらにはウクライナ情勢等を背景とした食料安全保障問題の顕在化等、我が国を取り巻く状況の変化を受け、第9期北海道総合開発計画が閣議決定された。
(2)第9期北海道総合開発計画について
第9期北海道総合開発計画は、計画期間を令和6年度からおおむね10年間とし、「我が国の豊かな暮らしを支える北海道~食料安全保障、観光立国、ゼロカーボン北海道」と「北海道の価値を生み出す北海道型地域構造~生産空間注2の維持・発展と強靱な国土づくり」の2つの目標を掲げている。
これらの目標を達成するため、官民の垣根を越えた共創により、食料供給力、観光資源、脱炭素化に関するポテンシャル等、ほかで代替できない北海道の価値の最大化を図るとともに、経済安全保障に貢献する先端産業拠点の形成や、デジタル技術の活用による生産空間の維持・発展、世界を見据えた人流・物流ネットワークの形成等の施策を推進することとしている。
- 注2 主として農業・漁業に係る生産の場(特に市街地ではない領域)を指す。生産空間は、生産のみならず、観光、脱炭素化に資する森林資源、豊富な再生可能エネルギー導入ポテンシャル、そのほかの多面的・公益的機能を提供し、北海道の価値を生み出している。