国土交通白書 2025
第2節 サービスの供給制約に対する国民意識
コラム 首里城復元を契機とした伝統的な建築技術に係る人材育成・技術継承に向けた取組(内閣府沖縄総合事務局・清水建設(株))
沖縄県の歴史・文化の象徴といえる首里城は、2019年の火災により、正殿を含む9施設が焼失又は一部焼失した。復元には、伝統的な建築技術を身につけた宮大工や塗装工等の技能労働者が必要であるが、県内の技能労働者の高齢化や後継者不足が深刻となる中、「令和の復元」が、2026年完成を目指し着々と進められている。
沖縄県では、建設業の担い手確保や伝統的な建築技術の継承といった課題に対して、首里城復元を機に、発注者の内閣府沖縄総合事務局や受注者の清水建設(株)注1等が協力し、若手技能労働者の育成や、若い世代への伝統的な建築技術の継承に、積極的に取り組んでいる。
正殿の木工工事を担う施工会社は、復元工事を契機に、県内外から20代~40代の若手技能労働者を新たに雇用し、工事現場で積極的に起用している。木材加工や組立等、多岐にわたる作業に従事させながら、伝統的な建築技術の指導を行い、将来の補修工事等でも活躍できる人材を育成している。
また、県も、県内の芸術大学の卒業生や、木工や木彫刻の基礎知識を習得済みの若手技能労働者を対象として、首里城に象徴される伝統的な建築技術の習得を目指す研修を実施している。首里城復元に携わる大学教員や、伝統的な建築技術の専門家が講師となり、講義や実習等を通じ、若い世代の、伝統的な建築技術の学び、技術の習得を支援している。
「令和の復元」では、BIMデータ等のデジタル技術が、リアルな復元状況を発信するデジタルツインの「見せる復興」や、ARを活用した焼失前の正殿の観光資源化といった、歴史と文化の継承の取組に役立っているほか、復元作業における省人化・省力化や伝統技術の保存・継承にも大きく役立っている。
現在着工している正殿工事に続き、今後も北殿・南殿等の復元工事が予定されるが、こうした伝統的な建築技術に係る人材育成や技術継承に向けた取組が、将来の首里城を支える技術・技能を受け継ぐ担い手の確保や伝統の継承につながることが期待されている。
資料)内閣府沖縄総合事務局・清水建設(株)
- 注1 受注者は清水・國場・大米特定建設工事共同企業体であり、清水建設がスポンサー企業(幹事会社)。