国土交通白書 2025
第1節 国土交通分野における施策の新展開の萌芽
コラム 建設業者の賃上げの取組((株)沼田建設)
業務の見直しや生産性向上に取り組むことで、賃上げの原資となる収益・利益を確保し、継続的に賃上げを実現している事業者も見られる。
愛媛県に拠点を置き、県や久万高原町から受注する公共土木工事を中心に事業を展開している(株)沼田建設では社員数が減少し、次世代の担い手となる人材の確保が問題となっていた。同社の社員数は2020年度に10名程度まで減少しており、さらに減少が続けば受注数が減少、その結果として利益も減少し、経営不振や社員のモチベーション低下等を招き、労災の発生等に至る負のスパイラルに陥ることも懸念されていた。
そこで同社は、生産性の向上に向けた取組を実施することで、利益を確保し、社員の処遇を改善するなど、担い手を確保するための活動につなげている。まず、生産性を向上させるために、過去のデータを抽出、現場ごとに工事原価を見える化し、生産性が低い原因を分析した。また、各現場の工事全体の進捗と社員の作業内容を開示することで、各自の作業の計画性も向上させた。さらに、3Dレーザースキャナーの導入、重機による掘削作業の自動化等、技術の導入による現場作業の省人化も実践した。これらの取組により向上した利益を原資として、社員の基本給やボーナスの賃上げを実現しており、年収については、2021年で前年比13%増、2022年で前年比7%増、2023年で前年比6%増と大幅に上昇している。加えて、人事評価制度の導入や従業員の資格取得支援を実施しており、社員の技術やモチベーション向上を図るとともに、企業全体の評価を向上させ、受注数及び収益を増加させる正のスパイラルを生むための仕組みを構築している。
一連の取組の結果、同社の社員数は20名程度にまで増加している。同社は今後、高い生産性と高レベルな作業品質を強みとして、より高難度な工事の受注を目指した取組を実施することとしている。
資料)(株)沼田建設