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国土交通白書 2025

第1節 国土交通分野における施策の新展開の萌芽

コラム 秋田県成瀬ダムにおける自動施工の取組(国土交通省・鹿島建設(株))

 i-Construction 2.0では、生産年齢人口減少下においても必要な施工能力を確保するため、「施工のオートメーション化」を掲げている。このような中、鹿島建設(株)は、秋田県東成瀬村で建設中の成瀬ダムにおいて一部自動施工に取り組んだ。

 成瀬ダムは、2027年度の完成に向け建設が進められている多目的ダムである。ダム高114.5m、堤頂長755m、総貯水容量78,500千m3と、完成すると台形CSGダム注1では国内最大規模となる。

 成瀬ダムでは、鹿島建設(株)が開発した自動化施工システム「A4CSEL®」注2(クワッドアクセル)を活用している。「A4CSEL®」は最適化された作業計画データに基づき、ITパイロットと呼ばれる3人の管制員で、自動化された最大14台の建設機械を同時に稼働させることを可能とし、オペレーターによる機械の遠隔操作は必要としない。

 成瀬ダムは、2019年10月にダム堤体の打設注3を開始し、2020年7月から堤体の打設において「A4CSEL®」を導入し、現場近傍の広報施設を兼ねるKAJIMA DX LABOの2階に設置したA4CSEL®管制室からITパイロットが管制を実施。並行して遠隔地からの管制について試験を重ね、最終的には現場から約400km離れた神奈川県から成瀬ダムの自動施工を管制するに至った。2023年5月には、1か月間で281千m3のCSG及びコンクリートを打設し、コンクリート系ダム工事における月間打設量の国内最高注4を更新するなど、大きな成果を上げている。

 また、「A4CSEL®」は、省人化効果だけでなく、人と機械が接触するリスクが減り安全性が向上する。さらに、得られる施工データを基にした、PDCAのハイサイクル化(迅速な対策と効果の検証)により生産性を向上させており、燃料消費量、CO2排出量の抑制にもつながっている。例えば、自動運転でのブルドーザーによる敷均しは有人運転と比較し、約40~50%の燃料使用が削減された。

 今後、「A4CSEL®」は、更なる省人化効果や生産性・安全性の向上を目指し、成瀬ダムの工事で培った技術を適用し、導入工種の順次拡大に取り組んでいく。

<自動施工の状況>
自動施工の状況
<ITパイロットによる管制状況>
ITパイロットによる管制状況

資料)鹿島建設(株)

  1. 注1 建設現場周辺で手近に得られる石や砂れきとセメント、水を混合してつくるCSG(Cemented Sand and Gravelの略)を使い、堤体の上流面と下流面が同じ勾配をもつ台形型に造るダム形式。
  2. 注2 鹿島建設の登録商標(Automated/Autonomous/Advanced/Accelerated Construction system for Safety, Efficiency, and Liability)。
  3. 注3 ダンプトラックによるCSG運搬→ブルドーザーによる敷均し→振動ローラによる締め固めの繰返し作業。
  4. 注4 それまでの国内最高は、富山県黒部(黒四)ダムにおける約14.7万m3(1960年8月)。