国土交通白書 2025
第1節 国土交通分野における施策の新展開の萌芽
コラム 鉄道の自動運転(GOA2.5)運転士(操縦免許保有者)による乗務が不要に
(九州旅客鉄道(株))
人口減少、将来の担い手不足の中でも、鉄道のネットワークを維持するという課題を解決するため、九州旅客鉄道(株)(以下、「JR九州」)では「大きなインフラ投資を伴わず安全を確保してドライバーレス運転の実現」を目指し、2017年から、操縦免許注1を保有しない車掌の乗務が可能となる自動運転技術の開発を進めてきた。
2024年3月、同社の香椎線において、国内で初めて、踏切があり、ホームドアが無い営業路線での自動運転を開始した。現在、この香椎線における自動運転レベルはGOA2.5(緊急停止操作等を行う係員が列車の先頭車両の最前部の運転台に乗務する形態)に分類され、操縦免許を保有しない車掌(自動運転乗務員)により、約4割注2の列車が運行されている。
香椎線の自動運転では、駅間の速度調整はすべて自動で実施される注3。自動運転乗務員は、走行開始要求の操作、ドア開閉を実施するほか、自動運転中、異常を認めた時には緊急停止ボタンを押すことにより、列車を速やかに安全停止させることができる。
JR九州の自動運転乗務員は、車掌経験者に追加で研修を行い、実務認定試験を合格することで乗務できる。同社では通常、車掌から列車の運転士の養成期間は約9か月であるが、自動運転乗務員の場合、約2か月である。
一般に、運転士は、信号や計器等を適宜確認しながら、確認できる範囲で異常を認めた場合には被害軽減に最善を尽くし、駅の所定停止位置にスムーズに停止操作を行うことが求められるなど、長期間の学科研修及び操縦操作をはじめとした習熟訓練が必要となる。
自動運転乗務員の養成では、自動運転であるため操縦操作の習熟訓練を要さない。一方で、単独乗務となるほか、列車乗務に必要な知識や技能習得のため、学科講習及び技能講習の中では緊急停止操作や異常時対応等の訓練を実施する。
また、自動運転乗務員は従来通り車掌として乗務することも可能であり、一例として、香椎線では自動運転乗務員として乗務し、別の路線では車掌として乗務するといった人材の有効活用が可能となり、担い手不足の解消につながることが期待される。
同社では、異常時等における手動運転を行うための運転士を確保した上で、今後GOA2.5自動運転の対象列車・区間拡大を行い、運転士から自動運転乗務員に置き換えていくことで、担い手不足に対応する予定である。
資料)JR九州
- 注1 動力車操縦者運転免許。
- 注2 2025年3月ダイヤ改正時点。
- 注3 車内に設置された自動列車運転装置は、線路に設置された地上子からの位置情報及び信号の制御情報を受信し、列車の速度調整を自動的に行う。