国土交通白書 2025
第1節 国土交通分野における施策の新展開の萌芽
コラム コンパクト・プラス・ネットワークによるまちづくり(香川県高松市)
香川県高松市は、2015年をピークに人口が減少に転じる中、市の中心市街地でバス路線のルートが重複している一方で、市の郊外部には交通不便地域が存在し、バス運転手になり得る免許注1の保有者が減少傾向にある等の公共交通をめぐる課題を抱えていた。
このような状況を踏まえ、同市では、公共交通を基軸とした集約型都市(コンパクト・プラス・ネットワーク)の構築に向けた取組を推進している。2024年に策定した「第7次高松市総合計画」、「多核連携型コンパクト・エコシティ推進計画」等に基づき、同市で鉄道・バス等の事業を運営している「ことでんグループ注2」と連携し、鉄道駅を基軸としたバス路線の再編・再構築に取り組んでいる。
まず、鉄道新駅を開業し新たな交通結節拠点とすることとし、2020年に高松市内のことでん琴平線に伏石駅注3を整備した。同駅の整備以降、ことでんバスでは伏石駅を発着する系統の新設・再編に取り組んでおり、2024年のダイヤ改正の際には、従来、中心市街地まで運行されていた系統の減便を実施した代替として、伏石駅を発着する路線系統を新設し、利用者がバスと鉄道を乗り継いで市街地に移動する形に変更している。
乗り継ぎの増加という点では、利用者の利便性は低下している一方で、同市及びことでんグループでは、待ち時間が生じないような鉄道とバスのダイヤ調整や、ICカードを利用した乗り継ぎ割引等の利用促進施策等を実施し、利用者の負担・抵抗感の軽減を図っている。その結果、2024年のダイヤ改正前後でバス利用者数は減少しておらず、バスの便数は平日25.1%、休日26.4%削減されている中で、サービス水準を大きく下げることなく運行を継続している。また、バス路線の再編に伴い、総走行距離数及び運転手の労働時間削減につながっている。
同市及びことでんグループでは、今後も、さらに新駅(多肥駅)を開業し、交通結節拠点として整備することを予定している。同市は民間事業者と連携しながら、コンパクト・プラス・ネットワークの考えの下、サービス水準を維持しながら需要に合わせた供給の最適化を目指している。
資料)高松市
- 注1 第二種大型自動車運転免許。
- 注2 同市で鉄道・バス等の事業を運営している民間事業者。
- 注3 高松市内のことでん琴平線。