国土交通白書 2025
第1節 国土交通分野における施策の新展開の萌芽
コラム 交通空白地におけるオンデマンド交通の取組(仙北市)
秋田県仙北市角館には、「武家屋敷通り」や、角館駅からのアクセスが近い「抱返り渓谷」等の多くの観光名所があり、特に桜や紅葉の季節は観光客で賑わう地域である。一方で、少子高齢化・人口減少の影響により、観光客の足となる路線バスが、減便・廃止となり、タクシーの増車も困難な状況であった。
同市は、観光客の需要に的確に応えつつ、持続可能な地域交通を実現するため、2022年5月から、乗合オンデマンド交通「よぶのる角館」の実証運行を始めた。
「よぶのる角館」は、ウェブサイトもしくは電話から簡単に予約可能であり、AIによる配車・経路選択等を行っている。利用実績で見ると、2024年度は約12,300人と運行開始初年の2022年度から順調に利用を伸ばしており、タクシーの増車が困難な中、効果的なモビリティサービスを提供している。また、利用者が減少していた定時・定路線バスは一部廃止され、「よぶのる角館」に整理・統合されている。
乗合サービスであることから、利用客の多い時間帯は待ち時間が発生することもあるが、利用者からは、安価で便利な公共交通を利用できることへの喜びの声が多く上がっており、市内全体の幸福度向上が図られている。また、不便だった観光地へのアクセスを確保することで、市内全体の活性化につながっている。
「よぶのる角館」は、2025年度から時間帯別の運行エリアや予約体制、運行エリア別の料金体系の導入等、持続的な運行に向けた最適化の検証のため、新たな実証運行の段階に入った。また、予約サイトのログイン認証方法の見直しなども行い、角館や周辺エリアにも増加しているインバウンド客が使いやすいような工夫をして利用拡大を目指しており、観光客と地元客との相互利用によって交通空白の解消につなげようとしている。
資料)仙北市