国土交通白書 2025
第1節 国土交通分野における施策の新展開の萌芽
コラム 住民と協働した「橋のセルフメンテナンス」(福島県平田村)
我が国の道路橋約73万橋のうち、7割以上となる約52万橋は市区町村(政令市含む)が管理する橋梁であり、その維持管理の担い手不足が深刻な課題となっている。
福島県平田村注1では、技術系職員はゼロの状態が続いており、インフラ維持管理に関わる業務を事務系職員が補っていた。そのため、管理する約70橋の橋に対して、5年に1回の定期点検注2で手一杯であり、橋の状態を日常的に把握し続けることが困難な状況となっていた。
このような中、平田村には「地域のインフラは住民自らの手で」という普請の精神が息づいていたこともあり、住民と協働して2018年度から、「橋のセルフメンテナンス」に取り組んでいる。住民による毎年の簡易点検のおかげで、5年に1回の定期点検だけでは収集が難しい橋面上の経年変化をこまめに把握でき、緊急性の高い損傷を早期に発見できるようになった。2024年度からは、SIP第3期注3の一環としてセルフメンテナンスのデジタル化に取り組んでおり、従来の紙のチェックシート注4と並行して、橋の簡易点検用アプリケーション「橋ログ」を導入している。「橋ログ」によって、スマートフォン等から点検結果を投稿することが可能となり、住民は紙での点検結果の提出が不要になるとともに、職員も手入力による整理等が不要となる。
また、住民から得た簡易点検結果に加え、定期点検結果、橋梁台帳等、これまで個別で管理されていた橋の維持管理に関する情報を、同一のプラットフォームでシームレスに閲覧することができる「橋マップ+」を構築している。「橋マップ+」にはSIP内で構築された橋の三次元可視化システムであるInfraWalk等を実装し、効率的な維持管理を目指している。
今後、平田村は、「橋ログ」の普及と「橋マップ+」の活用により、橋のメンテナンスに関わる村民、管理者、事業者の負担軽減を図り、更なるインフラ維持管理の効率化を目指すこととしている。
資料)平田村
- 注1 2024年12月1日現在人口5,250人。
- 注2 道路法の規定に基づいて行う点検。
- 注3 内閣府・戦略的イノベーション創造プログラム第3期「スマートインフラマネジメントシステムの構築」。
- 注4 橋面上のチェック項目が記載されているシート。イラストや損傷例が具体的に示されており、専門知識のない住民でも点検ができるよう工夫されている。