国土交通白書 2025
第2節 望ましい将来への展望
コラム みんなで支え合う活力あふれる社会
○サービスの消滅を回避し、維持・存続を図る
わたしたちは、日々の暮らしの中で、社会の基盤である施設・インフラから、公共交通、物流、日常の買い物に至るまで、様々なサービスを享受している。
担い手不足等によるサービスの供給制約の問題に対し、供給側では、担い手の処遇や働き方を改善し、新たな担い手の拡大を図るとともに、デジタルやAI・ロボット等の新技術による省人化・省力化を進め、多様な人材に能力を発揮してもらい、産業全体の生産性を向上させていくことが重要となる。
もっとも、供給制約の深刻化にかんがみ、持続可能な社会を目指す上では、こうした供給者側の取組だけではなく、需要者側を巻き込みながら、サービスの供給方法の見直し等を進め、需要者側の受容・協力によりサービスの維持・存続を図ることが重要となる。
自動物流道路による貨物輸送
○サービスレベルの低下を受け入れる国民的合意の形成
暮らしに身近な「宅配便」が、「価格の割にサービス品質が高い」と評されるように、わたしたちの日々の暮らしを支えているサービスは、高い品質がありながら、安価に需要者側(各荷主・消費者)に提供されている。ただ、「各コンビニ店舗へ1日4回の弁当配送」、「受取場所・時間を指定できる宅配・再配達」などのサービスのように、需要者側にとっては効率性・合理性に資するものが、他方で、供給者側に対し、非効率を担わせ、結果、供給制約につながることもあり得る。
わたしたち需要者は、単に需要する側だけではなく、ときにサービスを供給する側(担い手)としても関わっている。供給制約を乗り越える上で、この問題について、需要者を含む関係者全体で共有し、改善に向けた行動変容が期待される。
サービスの供給を維持するため、供給方法の見直しや需要者側が供給に協力する取組の広がりが期待される中、需要者側には、時間や手間、利便性低下などの負担が生じ得ることから、国土交通省「国民意識調査」において、図表Ⅰ-2-2-7(第2章第2節)のように、サービスレベルの低下を受け入れるか、その社会受容度を見たところ、サービスの供給方法の見直し等を、受容する旨の回答割合注1は、平均で約7割を占める結果となった。
国民の生活に必要な身近なサービスが、持続可能な形で安定的に供給されるためには、供給側が供給力の維持に努めることに加え、需要者を含む関係者全体で供給制約の問題を共有し、サービスレベルの低下を受け入れる国民的合意の形成が期待される。
- 注1 受容する69.6% 受容しない30.4%。なお、「受容する」は問題なく受け入れられる・受け入れられる・やむを得ず受け入れる、の合計。