国土交通白書 2025
第2節 望ましい将来への展望
コラム 「フラNavi」~現場見学会を若者の就業につなげる業界との接点に~
(徳山工業高等専門学校・山口県)
山口県では、建設業界における将来の担い手確保に向け、学生が主体となって、建設業の魅力・やりがい等の情報を発信する産学官共同の取組が始まっている。
周南市の徳山工業高等専門学校土木建築工学科では、2014年から、主に県内の建設現場を対象に、年間15回以上の現場見学会が開催されてきた。これは、授業の一環としてではなく、休日や放課後等に学生自ら、興味のある建設現場や企業を選んで、少人数で気軽に参加するものであり、学生の間では、現場で質問もしやすく様々な体験ができることに加え、建設現場や建設企業の理解を深められると好評だった。
このような中、現場見学会へ積極的に参加している同校の学生が、現場見学を希望する県内の若者と現場見学を企画する企業や地方公共団体をマッチングさせるプラットフォームとして、現場見学総合情報サイト「フラNavi for Yamaguchi」(以下、「フラNavi」)を発案注1した。学生がフラっとインフラに足を運べる少人数の現場見学会が持つ利点を広げ、現場規模や土木・建築といった工事内容に関係なく、県内のあらゆる建設現場を対象として、受入れ側の負担が少なく、また、見学だけでなく職人の技術等を体験できるといった特長がある。また、学生側が現場を選ぶ際には、検索機能を使って「#昼食付き」や「#夏休み」等の希望条件で絞ることも可能であり、学生たちの経験を活かし、より若者の需要にあった現場見学会の申込みが可能となる機能も備えている。
同校は、「フラNavi」の対象現場を主に県内の建設現場とし、地域に根ざした取組を目指しており、多くの企業からの賛同も得られている。建設業の担い手確保に課題を持っていた山口県は、この「フラNavi」のアイデアに賛同し、2023年度から3か年計画でサポートを行っており、2026年度の「フラNavi」の本格運用を目指し、今後は、学生だけでなく子どもや県外からの就職希望者等、幅広く利用してもらえるよう、利用者に制限を設けないこととしている。
将来的には、「フラNavi」を体験し、建設業に興味を持った学生や子どもが県内の建設業に就職し、学から産へと立場が変わった後も、産の立場から自ら現場見学会を企画し、将来の担い手確保が続いていくような「人に関する好循環」を産み出すことが期待されている。
このような建設業の魅力発信の取組が、各地域で独立して行われることで、地域からの人材の流出を防ぎ、持続可能な地域の建設業が続いていくことが期待される。
ケーソン設置工事見学会
ガス圧接体験
資料)徳山工業高等専門学校
- 注1 「インフラマネジメントテクノロジーコンテスト2022」で地域賞を受賞。