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国土交通白書 2025

第2節 望ましい将来への展望

コラム 物流分野における量子コンピューティングの活用(NEXT Logistics Japan (株))

 物流分野では、トラックドライバーの担い手が不足する中、時間外労働の上限規制への対応等が求められており、少ない人員で物流を維持するために、荷役・荷待ち時間の削減や効率化が進められている。

 NEXT Logistics Japan株式会社は2018年に設立され、物流に携わる荷主企業と運送事業会社をつなぎ、先進技術を活用することで健全な物流を実現することを目指して、「物流効率の最大化」「安心安全な物流」「持続可能な社会の実現」に取り組んでいる企業である。

 荷物輸送については、物流事業者が、どの荷物をどの車両で運搬するかを割り付けし、どの位置にどの荷物を積むか検討したうえで運行・配送計画を策定するが、この業務は個人の知識や経験に基づいて行われているため、効率化・省人化・自動化が喫緊の課題となっていた。また、配車もしくは積付けをそれぞれ自動化したシステムはあったものの、一方で、配車と積付けの自動計算が一体となったシステムは実用化が進んでいなかった。

 そこで同社は世界初の量子コンピュータ技術を活用した、配車と積付けの組み合わせを高速自動計算するシステム「NeLOSS(NEXT Logistics Optimal Solution System:ネロス)」(以下、「NeLOSS」)を開発した。

 NeLOSSは、荷物情報・荷室・車両・荷物の大きさ等を量子コンピュータで分析することで、人の手では2時間以上かかっていた配車・積付け業務が約40秒に短縮され、業務の効率化や省力化が実現している。さらに、最適な配車と積付けができるようになることで、積載率の向上も実現している。

 今後、同社は更にNeLOSS開発を進めるとともに、他社への導入を推進し、将来的には最適な運行計画の立案やダイアグラム設計、他社との共同配送設計等の機能を実装する予定である。デジタル技術を活用したソリューションの開発を進めることで、さらなるドライバーの省人化や効率化、積載率向上を実現し、物流業界の課題解決を目指すこととしている。

<NeLOSSイメージ図>
NeLOSSイメージ図
<配車・積替えのイメージ>
配車・積替えのイメージ

資料)NEXT Logistics Japan(株)