国土交通白書 2025
第2節 望ましい将来への展望
コラム 高速道路のサービスエリアに初の無人販売店舗((株)ネクスコ東日本エリアトラクト)
我が国の高速道路に設置されているサービスエリア・パーキングエリア(SA・PA)は、高速道路を利用するドライバーに対し、休憩施設等のサービスを提供し、良好な運転環境の実現に寄与している。全国的に人口減少が進む中、山間部に立地することも多いSA・PAは、施設の担い手不足への対応が、今後の重要な課題となっている。
関東以北、長野、新潟から北海道までの高速道路のSA・PAの管理・運営を行うNEXCO東日本グループは、商業施設のサービスの維持向上に向け、「イノベーションによる省人化」を方針に掲げ、取組を進めている。
2024年11月には、株式会社ネクスコ東日本エリアトラクトと無人販売・自動決済のシステムを提供する法人との提携の下、上信越道・東部湯の丸サービスエリア(下り線)に、SA・PAでは国内初の「無人販売店舗」をオープンさせた。
この「無人販売店舗」は、地域の名産品「峠の釜めし」をはじめ、土産品や菓子・飲料など約230品目の豊富な品揃えと、非対面決済端末によるスピーディな会計が魅力である。利用客はただ商品を手にとりレジの前に立つだけで、商品をスキャンせずに買い物ができる。複数のカメラによる人物捕捉データと、商品棚自体がリアルタイムに荷重変化を検知する商品取得データにより、レジのディスプレイには購入予定の商品名や価格等の会計額が自動表示されるシステムである。
利用客は、事前にアプリのダウンロードや登録の手間も不要で、カード決済だけでなく現金払いもできる。
SA・PAは昼夜を問わず24時間利用されるが、同社は、スタッフを配置した従来通りの営業では、時期による利用状況の変動に応じた営業や、夜間の営業の維持・拡大が難しいといった課題を抱えている。そのため、有人店舗の設置も進める一方で、採算上の問題や利用客のニーズも踏まえ、今後は無人販売店舗の導入による省人化も進め、営業時間の確保、店舗の運営効率の向上を図っていきたいと考えている。
人口減少、担い手不足が深刻となりつつある中、SA・PAにおける省人化の取組が進展することが期待される。
資料)(株)ネクスコ東日本エリアトラクト