(1) トラック輸送の現状と課題


 トラック輸送は、我が国物流の基幹的輸送モードとして国内貨物輸送の大宗を占めており、多様化・高度化する顧客ニーズに的確に対応し、産業経済の発展と国民生活の向上に貢献している。
 最近の輸送実績を見ると、4、5年度と営業用トラックの輸送量が減少するという厳しい状況下にあったが、6年度には2年ぶりに若干の増加に転じた。7年度においても輸送量は増加し、回復の兆しをみせているものの、いわゆる産業の空洞化や価格破壊の影響などトラック輸送を巡る環境は、依然として厳しい状況にある。
 一方、近年の経済のソフト化、産業構造の変化に伴い、利用者の輸送サービスに対するニーズは高度化、多様化する傾向にある。これに対応してトラック事業者においても小口多頻度輸送や冷凍・冷蔵輸送など高度な輸送業務を展開するとともに、納品代行、梱包、保管、流通加工等各種付帯サービスに積極的に取り組むなど、トラック輸送にとどまらず総合的な物流サービスの提供を目指した取り組みが行われている。
 以上のように、回復が遅れる需要、経済のソフト化等トラック輸送を取り巻く環境は依然として厳しいが、加えて、労働力の高齢化や労働時間の短縮への取り組み、高速道路料金や軽油価格の値上げ等の高コスト要因、騒音問題、交通渋滞、NOx規制等の環境規制の強化、CO排出抑制等の地球温暖化対策などの課題が山積しており、今後、トラック輸送は、これらの課題に積極的に取り組んでいく必要がある。