4 気象情報サービスの高度化の推進


 国民生活の多様化、情報化社会の進展に伴い、近年天気予報をはじめとする気象情報に対する国民や各種産業分野からのニーズは複雑化かつ高度化してきている。気象庁は、こうした要望に的確に応えて行くため自らが提供する防災気象情報の充実や広く全国にナショナルミニマムとしての天気予報等の精度向上を図る一方、広範なニーズに対応するため民間気象事業者による個別サービスの展開を支援してきている。
 気象注意報・警報、天気予報等は、新聞、ラジオ、テレビのほか様々な情報メディアを通して広く一般国民に伝えられ、国民の生命・財産の確保と生活の利便性向上に寄与している。こうした中で、民間気象事業者は天気番組等の製作過程で気象情報の編集・加工や解説を行うなど、国民生活にとって理解しやすく使いやすい情報の提供の役割を担ってきている。また、流通業や製造業等における商品の需要予測、船舶の最適航路情報の提供等の産業分野等における個別利用者の目的に合致した気象情報サービスを行ってきている。
 こうした民間の気象情報サービス活動を推進するためには、民間気象事業者へ提供される観測データをはじめとした予報の基礎となる資料の充実に加えて、民間気象事業者から社会に提供される気象情報の信頼性を確保することも重要である。このため、気象庁は6年に(財)気象業務支援センターを通じた気象情報の提供業務を開始するとともに、同年から気象予報士試験制度を導入して、7年5月から民間気象事業者による一般向けの地域的・時間的にきめ細かい局地的な天気予報活動を認め、民間による気象情報サービス基盤の強化に努めている。6年8月から9年1月までに行われた7回の気象予報士試験に合格した1,999人のうち1,911人が、9年6月末までに気象予報士の登録を行い、その多くが様々な分野で活躍している。なお、8年7月には気象予報士の親睦団体として気象予報士会が設立され、気象予報士相互の交流が図られている。


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