相次ぐ大規模油流出事故(9.1.2、9.7.2)


 平成9年1月2日、ロシア船籍タンカー「ナホトカ号」が、島根県隠岐諸島沖で2つに折損する事故が発生し、船尾部は約2,500mの海底に沈没し、船首部は漂流後、福井県三国町沖に着底した。この事故により、推定約6,240klの重油が流出、日本海沿岸に広範囲にわたって漂着し、我が国としては過去最大規模の油流出災害となり、タンカーによる油流出事故の重大性を改めて認識させられる結果となった。
 事故後の災害応急対策については、運輸大臣を本部長として設置された「ナホトカ号海難・流出油災害対策本部」を中心として関係省庁相互の密接な連携と協力の下進められ、運輸省においても、海上保安庁の巡視船や港湾建設局の大型浚渫兼油回収船「清龍丸」等による油防除作業に全力で取組んだところである。これらの政府の取組みと関係機関や地方自治体、地域住民、ボランティア等による取組みの結果、現在では漂着油及び浮流油はほとんど認められない状況となっている。
 また、9年7月2日には、パナマ船籍の大型タンカー「ダイヤモンドグレース号」が東京湾中ノ瀬付近において浅瀬に接触、推定約1,550klの原油が流出する事故が発生した。
 この事故については、運輸大臣を本部長とした「ダイヤモンドグレース号油流出事故非常災害対策本部」を設置し、関係機関等が協力して迅速かつ懸命に流出油の防除作業に取組んだ結果、約1週間後には浮流油が認められなくなった。
 運輸省においては、これらの油流出事故の重大性に鑑み、二重構造タンカーへの代替促進等の事故再発防止策や、巡視船等に搭載可能な大型油回収装置等の油防除資機材の整備、大型浚渫兼油回収船の建造等の油防除対策等について、総合的な検討を行っている。


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