1980年代には、全世界的にCO2排出量の増加の影響や、地球温暖化への取り組みの必要性が指摘され、これに係る協議がなされるようになり、前述のIPCCも設立された。そして、1992年(平成4年)5月、「気候変動に関する国際連合枠組条約(気候変動枠組条約)」が採択された。この条約は、地球温暖化を防止するための全世界的な取り組みの枠組みを確立するため、「気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること」を目標とし、先進国は、温室効果ガスの人為的排出を1990年代の終わりまでに1990年の水準に戻すことをめざすこととされている。本条約は、1992年6月にリオ・デ・ジャネイロで開催された「環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)」において署名が行われ、1994年(平成6年)3月に発効したが、排出量の水準の安定化については、各国に拘束力を課すものではなく、また2000年以降の具体的取り組みに関する規定が存在しない等の問題があった。
こうして、2000年以降の先進国の温室効果ガスの排出量について、拘束力を持つ数値目標を設定し、その達成のためにとるべき政策・措置を規定する等地球温暖化防止のための新たな国際的取り組みについて、議定書等の法的文書を定める必要性が高まり、数度にわたる交渉ののち、1997年(平成9年)12月、京都において気候変動枠組条約第3回締約国会議(地球温暖化防止京都会議)が開催され、京都議定書が採択された。
京都議定書の概要は表のとおりである〔1−2−5表〕。拘束力については、議定書の内容の不履行に関しての措置を今後の議定書締約国会合で承認する、としており、各国の具体的数値の設定とともに、気候変動枠組条約よりも踏み込んだ内容となっている。世界全体のCO2排出量に占める我が国の割合は、1995年度において4.8%であり、アメリカ(21.9%)、中国(13.6%)、ロシア(7.7%)に続いて世界第4位となっている〔1−2−6図〕。我が国の排出量の推移をみると毎年増加傾向にあり、1995年には1990年と比べて8%の伸びとなっている〔1−2−7図〕。京都議定書においては、先進国における温室効果ガスの人為的な排出量の削減目標に関して、我が国については2008年から2012年の排出量の平均水準を1990年の水準より6%削減することとされている。今後、これに従って、我が国の産業、民生、運輸の各部門において温室効果ガスの排出削減を進めていくこととなる。
![]() |
![]() |
![]() |