2 地球温暖化のメカニズムとその影響


(1) 地球温暖化のメカニズム

 地表付近の気温は、太陽から地上に到達する日射エネルギーと、地表から宇宙に向かって放出される赤外線(熱)エネルギーのバランスにより定まっている。大気中のCO2等の温室効果ガスは、このうち後者の赤外線エネルギーの一部を吸収する性質を持っている。近年、各国の化石燃料の消費拡大等に起因する大気中のCO2濃度の増加により、この赤外線エネルギーの吸収量が増加しつつある。これに伴う世界的規模の大気温度の上昇が「地球温暖化」と呼ばれるものである〔1−2−1図〕。人為的に排出される温室効果ガスの中には、メタンや一酸化二窒素等その温室効果がCO2よりはるかに高いものがあるが、CO2は他の温室効果ガスに比べて大気中での濃度が高く、かつ排出量も膨大であるため、地球温暖化の最大の原因となっている〔1−2−2図1−2−3図〕。
 人間活動の拡大等により、大気中のCO2濃度は年々増加してきている。世界の代表的な観測点におけるCO2の月平均濃度の変化は図のとおりであり、いずれの地点においても季節変動を繰り返しながら、年々増加していることが分かる〔1−2−4図〕。

(2) 地球温暖化による影響

 IPCCの報告によれば、仮に地球温暖化を防止するための施策が実施されずに、CO2等の大気中濃度の増加に起因する地球温暖化が進んだ場合、2100年には1990年に比べて地球の平均気温が約2゜C、海面の水位が約50cm上昇する。また、気温上昇によって、豪雨や渇水の発生の増加、熱帯・亜熱帯地域での食糧生産の低下、マラリアの患者数の増加等の被害が発生するとされている。
 海面水位の上昇の影響については、臨海部において、河川・地下水の塩水化、排水能力の低下等が、また河口部の橋梁下の上方空間の減少等が予測される。さらに、その背後に政治、経済、文化等の機能が高度に集中する都市部がある場合、その諸機能にも大きな影響がある可能性が極めて高い。
 このような地球温暖化問題を、我々の世代において放置した場合、将来世代にはより深刻なものとなり、その時において対策を行ってもすでに回復困難となる性格をもつものである。したがって、早急かつ効果的な対策の実施に向けて全世界的な取り組みが必要である。


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