第3節 交通運輸分野の二酸化炭素の排出の抑制


 前節でみてきたような自動車の普及は、国民生活の向上や経済の発展に大きな役割を果たしてきた反面、排出ガスに含まれるCO2等は、地球温暖化問題の顕在化の要因のひとつとなった。交通運輸分野において、CO2排出量の抑制を図っていくためには、自動車単体からの排出抑制を図るとともに、自家用自動車から公共交通機関への需要の転換、モーダルシフト等による物流の効率化等を図り、より地球環境への負荷の少ない交通運輸システムの構築をめざしていく必要がある。
 平成9年4月、運輸政策審議会総合部会において「運輸部門における地球温暖化問題への対応方策について」がとりまとめられ、地球温暖化問題に関する短中期的な重点施策及び長期的視点から講じて行くべき施策の方向が示された。また、同年12月に京都議定書が採択されたことから、政府に地球温暖化対策推進本部が設けられ、運輸省においても、10年1月に交通運輸分野における地球温暖化防止に係る対策を総合的に推進するために運輸省地球温暖化対策推進本部を設置した。さらに、同年6月には地球温暖化対策推進本部により、交通運輸分野の対策を含む「地球温暖化対策推進大綱」が決定された。また、同年10月には、「地球温暖化対策の推進に関する法律」が制定され、国だけではなく都道府県や市町村についても自らの事務及び事業に関し、温室効果ガスの排出の抑制等のための措置に関する計画の策定と公表が義務づけられるとともに、地球温暖化防止のための事業者や国民の責務についても定められており、我が国全体で取り組むこととしている。
 京都会議に先立ち、我が国の地球温暖化問題への対応の基本的な方向づけを行う目的で開催された「地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議」におけるとりまとめによれば、実行可能な対策の積み上げにより、CO2排出量については、2010年において1990年に比べて、産業部門については7%減、民生部門については増減なし、また交通運輸分野(運輸部門)については17%増(自然体で推移した場合は40%増)になると予想されている。運輸省においては、京都議定書における我が国の温室効果ガスの6%削減という目標達成に向け、上記の大綱や法律を踏まえて、以下の各種施策の実施によりCO2の排出量を交通運輸分野として17%増に抑制すべく努力しているところである。


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