1 自動車等単体からの二酸化炭素の排出抑制


(1) 低公害車の開発・導入

 自動車の低公害化は、地球環境への負荷の低減のためにも有効である。従来のガソリン自動車、ディーゼル自動車といった自動車に比べてCO2の排出抑制等の面ですぐれている低公害車の開発及び普及促進が進められている。現在実用段階にある低公害車としては、メタノール自動車、ハイブリッド自動車、圧縮天然ガス(CNG)自動車、電気自動車の4種類があり、その概要は次のように、またその導入状況は図のようになっている〔1−2−27図〕。

(2) 低公害車普及のための施策

 低公害車の普及促進のためには、一層の技術開発による性能の向上、大量生産による価格の低減等が必要である。特に、低公害車は従来車に比べて生産コストが高いことから、普及促進によるコスト低減を図るため、低公害車の開発や使用に関して次のような支援措置を講じている。

(3) 燃費性能の向上

 前述したような低公害車の普及とともに、従来のガソリン自動車・ディーゼル自動車についての燃費の向上に取り組んでいる。
 我が国の自動車の燃費性能の向上は、第2次石油危機以降、昭和54年に施行された「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」に基づき、運輸省と通商産業省の連携のもとで燃費改善目標値の設定による指導、また燃費の公表等により図ってきたが、60年度には当初の目標値を達成した。
 しかし、その後、自動車の大型化、オートマチック車の増加〔1−2−28図〕、RV車の普及、安全装置の装備による車両重量の増加等により燃費が悪化する傾向にあることから、運輸省では通商産業省と連携して、新たな燃費目標値を定め燃費の向上を図ってきた。こうした状況の中で、地球温暖化防止京都会議における京都議定書の採択を受けて、より一層燃費の向上を図るため、省エネ法の改正により平成11年4月から燃費に係る基準をトップランナー方式(従来における最高の省エネルギー性能を持つ自動車を基準としてそれ以上の水準をめざす方式)の考え方に基づき強化し、22年度までに7年度比15%ないし20%超の燃費向上をめざすこととしている。10年7月には、運輸技術審議会に「自動車の燃費基準の強化について」を諮問したところであり、総合エネルギー調査会との合同審議を経た答申に基づいて具体的な燃費基準の策定等を行っていくこととなる。

(4) 低燃費自動車への代替の促進

 以上の自動車単体自体に係る施策に加え、消費者が自動車を購入する際に低燃費車を選択するように誘導し、低燃費車への代替の促進を図る施策が有効である。10年6月の「地球温暖化対策推進大綱」の中でも、低燃費自動車の一層の普及促進を図るため、自動車関係税制を含めあらゆる政策手段について検討することとされている。これを受けて運輸省では、同年9月に低燃費自動車の一層の普及促進策について運輸政策審議会に諮問を行い、10年度末を目途に答申を得ることとしている。

(5) 鉄道車両・船舶・航空機からの排出抑制

 鉄道車両では、VVVF(電圧可変・周波数可変)制御等のエネルギー効率のよい制御方法の採用や、アルミ合金・ステンレス鋼の軽量な車体の採用により、省エネ型車両の導入をすすめている。VVVF制御については、4年度よりエネルギー需給構造改革投資促進税制として、これを採用したモーター用回転数制御装置について、所得税または法人税に係る一定の特例措置が認められている。
 船舶では、推進抵抗の軽減、船体の軽量化、エンジンの効率改善、船内エネルギーの有効活用等エネルギー消費効率の向上をめざした技術開発がすすめられ、これらの成果が実船に活用されてきている。
 航空機では、搭載品の軽量化等による燃費改善とともに、エネルギー効率のよい高性能新型航空機の導入をすすめている。また、大規模空港等において地上駐機時に地上電源を使用することによって、エネルギーの消費効率の向上を図っている。


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