運輸省としては、交通ターミナルのバリアフリー施設の整備を進めるため、6年3月「公共交通ターミナルにおける高齢者・障害者等のための施設整備ガイドライン」等に基づいて交通事業者を指導するとともに、支援措置を講ずる等以下の施策を講じている。
鉄道駅におけるエレベーター・エスカレーターの整備に関しては、5年に「鉄道駅におけるエレベーターの整備指針」、「鉄道駅におけるエスカレーターの整備指針」を定め、新設又は大改良する駅の場合及び既設駅で駅の構造等が一定の条件を満たす場合について、エレベーター・エスカレーターの設置を進めており、順次計画的に整備に努めるよう事業者を指導している。
鉄道駅におけるエレベーター・エスカレーターの整備に対する補助制度(交通施設利用円滑化対策費補助金)として、交通エコロジー・モビリティ財団を通じ、財団による補助と併せて事業費の20%の助成を行っている。この制度により9年度においては、全国13事業者の13駅において33基の障害者対応エレベーターを整備している。
また、税制上の支援措置として、10年度より、既存の鉄道駅におけるエレベーター・エスカレーターの設置に対して15%の特別償却制度が設けられている。
これらのほか、バスターミナル、旅客船ターミナル、空港旅客ターミナルにおけるエレベーター・エスカレーターの設置についても、同財団により、事業費の10%の補助を行っており、この制度により9年度においては、全国3事業者のエレベーター14基、エスカレーター20基を整備した。
(イ) 視覚、聴覚障害者等に配慮した施設整備
視覚障害者のための対策として、音声ガイドアナウンス、盲導鈴等の音声情報による案内設備や、誘導・警告ブロック、音声触知図案内板、手すりへの点字(P.114写真参照)等の触手による案内施設等の整備が進められている。そのほか、プラットホームでの転落等の防止のためのホームドア、転落検知マット、券売機における点字テープ等の設置が進められている。
このうち誘導・警告ブロックについては、東京圏の主要な鉄道駅でコンコース及びホームともに設置されているのは約900駅あるが、このうち1/3は色の統一等が図られていない。より一層の利用しやすさを確保するためには、これらブロックの色やサイズを統一し、コンコースからホームまでの連続性に配慮する等、よりきめ細やかな施設整備が望まれる〔1−3−12表〕。
聴覚・言語障害者のための対策として、案内表示板等の視覚による案内情報の施設整備が進められており、駅などにおいては、LED(発光ダイオード)方式による判読しやすい乗換案内や列車の発車案内表示が進められている。
利用しやすい交通運輸をめざすためには、鉄道、バス等の各モードにおいてバリアフリー化を図るほか、これらモードの結節点となるターミナル内外の関連施設、駅前広場、道路等を含めて一体的なバリアフリー化の整備が必要である。ターミナル周辺の自由通路等の都市公共施設との同時整備により整合性のとれたターミナル周辺整備を図る等により、全体として円滑な移動を確保することが重要である。
また、公共交通のさらなる利便性・快適性の向上のためには、各モード間の移動中における細かな配慮が欠かせない。例えば、現在首都圏においてバス交通から鉄道への乗り換え人数の多い代表的な5駅でみると、バス停留所から鉄道の改札口までの乗り換えにおいて半数以上の施設に屋根が設けられていない状況にある〔1−3−13表〕。今後、こうした乗り継ぎ通路における上屋の設置のほか、駅前広場における段差の解消、ペデストリアンデッキの設置等、地域のまちづくりとも一体となって、公共交通システム全体を通じた利便性・快適性の向上が望まれる。
高齢者・障害者等の移動制約者の移動手段の確保のため、最も身近な交通機関であるバスのノンステップ化等の取り組みが進められており、今後さらなる普及のため、国、地方公共団体、交通エコロジー・モビリティ財団による助成を行っている。
運輸省では、バス利用促進等総合対策事業として、ノンステップバス、リフト付きバス等の導入について、購入費用の20%の補助(赤字事業者が導入するノンステップバスについては、購入費の25%)を行っており、9年度においてはノンステップバス58台、リフト付きバス7台、スロープ付きバス98台に対して補助金を交付した。
また、交通エコロジー・モビリティ財団においても、ノンステップバス、リフト付きバス等の導入に対し、購入費用の10%の助成を行っており、9年度において、全国10事業者のノンステップバス4台、リフト付きバス2台、スロープ付きバス4台に対し助成金を交付した。
税制上の支援措置としては、10年度よりリフト付きバス・タクシーのリフト部分につき25%の特別償却制度を設けるとともに、ノンステップバスについては、一定設備に係る自動車取得税の非課税措置を設けている。
そのほか、交通エコロジー・モビリティ財団により、ノンステップバス普及のためのセミナーを実施している。〔1−3−14図〕
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