(1) 運輸事業における中小企業対策
「中小企業信用保険法」(昭和25年法律第264号)に基づき、一般貨物自動車運送業、特定貨物自動車運送業、沿海貨物海運業、内航船舶貸渡業、船舶(総トン数が1万トン以上のものを除く。)、舶用機関又は船体部品の製造・修理業(船体ブロック製造業を除く。)が、10年7月1日から10年12月31日までの間、特定業種として指定された。これにより、指定を受けた事業者は信用保険の一般の保険限度額(担保付融資の場合2億円、無担保融資の場合3,500万円)の倍額まで利用することが可能となり、融資が受けやすくなった。また、10年8月の中小企業等貸し渋り対策大綱に基づく中小企業信用保険法の一部改正(10年10月施行)により、信用保険の一般の保険限度額について、無担保保険の場合3,500万円から5,000万円へ引き上げられ、融資が受けやすくなった。
(イ) 中小企業の範囲拡大による公的融資等の拡充
10年4月の総合経済対策に基づく中小企業信用保険法等の一部改正(10年6月施行)により、運輸関連4業種(旅行業、自動車販売業、登録ホテル業、登録旅館業)について、中小企業の範囲が100人以下又は5,000万円以下等に拡大され、融資や信用保証が受けやすくなった。
なお、運送業は、従来より中小企業の範囲が300人以下又は1億円以下となっている。
(ウ) 中小企業に対する金利減免措置等
中小企業等貸し渋り対策大綱に基づき、中小企業金融公庫などの政府系金融機関に対して中小企業者が有する金利5%超の債務について、5%超の部分について金利を免除する措置の期限(10年10月)を延長し、中小企業者の金利負担の軽減を図ることとしている。
なお、運輸施設整備事業団でも、10年度第1次補正予算において、10年度上期について同様の措置を講じた。
(エ) 中小企業投資促進税制
総合経済対策に基づき、「中小企業投資促進税制」が創設され、10年6月より1年間、中小事業者が機械装置、大型貨物自動車、内航船舶等を取得した場合等の所得税及び法人税の初年度特別償却(30%)又は税額控除(7%)が認められることとなった。
(オ) 近代化・構造改善対策
「中小企業近代化促進法」(昭和38年法律第64号)に基づく貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業、船舶製造業及び自動車分解整備業における設備の近代化に対して、公的融資、税制特例などの措置が講じられている。
(カ) 物流効率化対策
「中小企業流通業務効率化促進法」(平成4年法律第65号)に基づく中小トラック事業者等による共同配送施設の整備等の流通業務効率化事業に対して、公的融資、税制特例などの措置が講じられている。
(2) 運輸分野における雇用対策
運輸分野における雇用対策(船員雇用対策については第7章第3節参照)については、以下2つの助成金制度の活用を中心に措置が講じられている。
沿海旅客海運業、貨物鉄道業、鋼船・木船製造・修理業(総トン数1万トン以上のものを除く。)、港湾運送業に加え、10年6月に、港湾荷役における検量業が雇用調整助成金の給付対象業種に指定されており、「雇用保険法」(昭和49年法律第116号)に基づき、休業や出向等の雇用調整を行った場合の助成措置が講じられている。
(イ) 労働移動雇用安定助成金
「特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」(昭和58年法律第39号)に基づき、沿海旅客海運業、貨物鉄道業、鋼船・木船製造・修理業(総トン数1万トン以上のものを除く。)に加え、10年6月に港湾荷役における検量業が特定雇用調整業種等に指定され、これらの業種に属する事業所から従業員を受け入れる事業主等に対して労働移動雇用安定助成金支給による助成措置が講じられている。
これらの雇用対策については、総合経済対策の一環として、その助成率等について引き上げが行われ、雇用の維持及び出向・再就職あっせん等による失業なき労働移動への支援対策を強化している。
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