(1) 船舶の安全性の向上
船舶の安全基準は、海上人命安全条約(SOLAS条約)等に定められているが、現在、IMO(国際海事機関)において、最新の技術を取り入れて船舶の安全性を向上させるとともに、今後の技術進歩に対応できるよう安全上要求される機能を規定する基準体系とすることを目的として、復原性、消防・防火設備、航行設備、満載喫水線等の要件について総合的な見直し作業が行われている。我が国も消防・防火設備について取りまとめ国を務める等これらの審議に積極的に参加してきており、引き続き船舶の安全性の向上に積極的に貢献していく。
(2) PSCにおける連携
国際条約等の基準に適合していない船舶の排除を目的に、アジア太平洋地域の外国船舶の監督(ポート・ステート・コントロール:PSC)を協力して実施するための覚書(東京MOU)が策定され、6年4月から実施している。これに基づき、参加国(10年6月現在16か国)はPSCの強化を図っているが、域内の検査官の資質の向上、PSCの標準化を図る必要から、我が国では、東京MOU事務局と協力し、7年度から5ヶ年計画で域内の検査官約220名を日本に招へいし研修を実施しており、引き続き積極的に国際貢献を進めていく。
(3) マラッカ・シンガポール海峡における安全対策
我が国の石油等の安定確保を図るためには、マラッカ・シンガポール海峡における海上輸送の安全確保が重要である。近年、同海峡の通航隻数が著しく増加しており、これらの状況の変化に応じた海峡通航の安全を維持するため、追加的な航行援助施設の整備、VTS(注)の充実等が必要となっている。
我が国は従来から、沿岸国の要請に応じ水路測量等の協力を行うとともに、(財)マラッカ海峡協議会を通じて航行援助施設整備・維持を行っているほか、5年3月、省内に「マラッカ・シンガポール海峡問題検討委員会」及び「ワーキンググループ」を設置し、同海峡の船舶通航をめぐる諸問題を総合的に検討しており、今後も同海峡の航行安全対策について、引き続き積極的に支援していくこととしている。
(注)VTS(Vessel Traffic Service)
船舶交通の安全・効率の改善及び環境の保護を目的とした情報提供等のサービス
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |