(1) 外国人の来訪促進活動の充実
外国人旅行者の訪日の促進と地方圏への誘致は、国際社会の対日理解の増進とともに地方の国際化・活性化に資するものであるが、我が国を訪れる外国人旅行者の数は平成9年に史上初めて400万人台に達したものの依然として国際的にみて低水準にある。そのため、8年4月に提言された「ウェルカムプラン21(訪日観光交流倍増計画)」及び外客誘致法に基づき、国際観光テーマ地区の整備、外国人旅行者の国内旅行費用の低廉化、接遇の向上等のための施策を推進している。
外客誘致法に基づき、優れた観光資源を有する地域と宿泊拠点とからなる地域をネットワーク化して、外国人旅行者が3〜5泊程度で周遊できる観光ルートを整備する広域的な地域である外客来訪促進地域(通称「国際観光テーマ地区」)の形成が現在進められているが、同地区が盛り込まれた「外客来訪促進計画」について、10年4月に初の運輸大臣の同意がなされた(3地域)のを皮切りに、10年10月までに計7地域について同意がなされた。
同テーマ地区については、国際観光振興会による重点的海外宣伝の実施など関係者一体となった取り組みが行われることとなっている。また、同地区の拠点に地域の歴史文化の紹介機能や体験機能を備えた国際交流村を整備することとしており、北海道七飯(ななえ)町において整備が行われている。
(2) 外国人旅行者の国内旅行費用の低廉化
博物館、宿泊施設、飲食店等を利用する際に提示することにより割引等の優遇措置を受けられる「ウェルカムカード」については、国のモデルプロジェクトとして、9年10月に青森県で、10年8月に香川県で導入されたほか、成田市等でも導入されている。この他にも、主要な航空会社、鉄道会社において外国人向けの割引運賃が設定されるなど、ウェルカムプラン21に基づく外国人旅行者の国内旅行費用の低廉化のための取り組みが各方面でなされている。
(3) 地域限定通訳案内業
訪日外国人旅行者の接遇の向上のため外客誘致法により新たに創設された地域限定通訳案内業制度については、10年1月に九州地域限定の中国語及び朝鮮語の通訳案内業の研修が実施され、同研修を修了した、一定の実務経験を有する等の要件を備えた者について、4月に申請により免許(中国語)が交付された(P.148参照)。
国際会議(国際コンベンション)を我が国で開催することは、外国人参加者が我が国を理解する機会になるほか、地域経済の活性化や地域の国際化にも貢献する。
「国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律」(コンベンション法)に基づき運輸大臣が認定する「国際会議観光都市」は、現在45都市である〔2−4−1図〕。
国際観光振興会は、認定を受けた都市に対して国際コンベンション等の誘致に関する情報提供、国際会議観光都市の宣伝等を行うとともに、寄附金の募集、交付金の交付等の事業を行っている。
(イ) 国際会議場の整備
「民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法」(民活法)に基づき、国際会議場の整備を行う民間事業者に対し支援を行っている。8年度までに4施設の整備計画を認定しており、横浜国際平和会議場、宇奈月国際会館、りんくうゲートタワービル国際会議場、神戸ポートピアホール国際会議場の各施設が供用を開始している。
外国人の来訪促進活動を推進するため、日本の観光宣伝、観光情報提供等を国際観光振興会を通じて行っている。
10年度は、従来からの外客誘致活動に加え、「ウェルカムプラン21」に対応するべく、新時代に対応した日本の観光イメージの策定、国際観光テーマルート外客誘致キャンペーンの実施、i案内所機能向上対策の推進等を行うとともに、従来から行っているパソコン情報提供事業についても内容の一層の充実を図ることとしている。
また、海外における観光宣伝や国内観光案内所の運営業務などについても引き続き効率化を推進することとしており、10年12月には北京事務所を設置することとなっている。
(4) 登録ホテル・旅館等の整備
国際観光ホテル整備法に基づき、ハード・ソフト両面からみて外国人旅行者の宿泊に適したホテル・旅館の登録を行い、財政投融資によりその整備を推進し、これらに関する情報を外国人旅行者に提供している。
また、国際観光レストラン登録規程に基づき、外国人旅行者が容易かつ快適に食事ができるレストランについても登録を行い、国内における外国人旅行者の受入れ体制の整備を行っている。
なお、10年6月末現在、1,043軒のホテル、2,037軒の旅館及び149軒のレストランが登録されている。
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