(1) 国内海上旅客輸送の規制の見直し
9年4月、運輸政策審議会に対し、交通運輸における需給調整規制廃止に向けて必要となる環境整備方策等について諮問を行い、旅客船事業については、同審議会の下に設置された海上交通部会旅客船小委員会において審議が行われた。
10年6月、同部会は、参入につき免許制を許可制に、退出につき許可制を届出制に、運賃については認可制を事前届出制にするなど市場原理の導入による利用者利益の増進を図る観点から規制を最小限にするとともに、安全確保、利用者保護のための規制は今後とも必要であること、情報提供の充実等を図るべきこと、またいわゆる生活航路については、その維持のための所要の規制及び公的支援等の措置を講じることが必要であるとの答申をとりまとめた。
運輸省としては、この答申をもとに、国内旅客船行政の制度改革を進めていくこととしている。
(2) 離島航路の対策
離島航路は、離島住民の生活の足及び生活物資等の輸送手段として重要な役割を果たしているが、過疎化の進行により、その経営は大変厳しい状況にある。
このため、離島航路整備法に基づき、離島航路事業者に対して、航路経営によって生じる欠損について補助金を交付することにより航路の維持・整備を図っている(離島航路補助制度)。
さらに、離島航路に就航する船舶の近代化に係る建造費用の一部を補助する制度(離島航路船舶近代化建造費補助制度)が実施されている。
(3) 本四対策
10年4月、明石海峡大橋(神戸・鳴門ルート)の供用開始により、関連航路の廃止や事業規模の縮小を余儀なくされ、既存の旅客船事業者は大きな影響を受け、これに伴う航路の再編成が行われたが、来年春には新尾道大橋、多々羅大橋及び来島海峡大橋(尾道・今治ルート)の完成により、本州と四国が3ルート全てで結ばれることから、関連航路事業者については、相当な影響を受けるものと考えられている。
このため、明石海峡大橋について航路の再編成を引き続き推進するとともに、関係省庁及び関係地方公共団体等と協力して事業者の転業、離職者の再就職のための方策を講じていくこととしている。また、尾道・今治ルートについては、航路再編成計画に基づいた関連航路の再編成を具体的に進めていくとともに、関係機関等と協力して、船員に対する離職前職業訓練等円滑な転業・再就職のための対策を講じることとしている。
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