2 新東京国際空港の整備


(1) 空港の現況

 10年5月20日に開港20周年を迎えた新東京国際空港(成田空港)は、9年度には34ヶ国1地域47社が乗り入れており、年間航空機発着回数は12万5,000回、年間航空旅客数2,519万人、年間取扱航空貨物量167万トンに上っているが、現在供用中の滑走路1本による運用では、既に乗り入れている航空会社からの強い増便要請や38ヶ国からの新規の乗り入れ要請に対応できない状況にある。
 4年12月には第2旅客ターミナルビルを供用開始し、現在は第1旅客ターミナルビル等の既存施設の能力増強に取り組んでいるものの、空港能力の増大を図るためには、新たな滑走路等の整備が是非とも必要となっている。

(2) 成田空港問題をめぐるこれまでの動き

 成田空港問題は、シンポジウム・円卓会議の結果、長年にわたる農民との対立構造が解消され、平行滑走路等の整備が話し合いで進められていくこととなった。運輸省は8年12月に、共生策、空港整備、地域整備に関する「基本的考え方」を発表し、共生策、空港整備、地域振興を三位一体のものとして取り組むこととしたほか、さらに平行滑走路等の整備についても、2000年度を目標にあくまで話し合いで進める旨を明らかにしたところである。その後、共生策については、9年7月にきめ細かな環境対策を実施するための成田空港地域共生財団が設立されるなど、地域との共生を図るためのさまざまな施策を実施してきているところである。また、用地問題についても、話し合いによる成果が具体化しており、8年から9年にかけて空港用地内居住者8戸のうち6戸について解決されており、残る用地内居住者は2戸、未買収地は6.0haとなっている。
 このような中、10年5月、円卓会議の結論のうち、最後に残された課題であった「地球的課題の実験村」構想具体化検討委員会での検討が終結し、最終報告が出された。これらの動きを受けて、シンポジウム・円卓会議で調停役をつとめた隅谷調査団から「シンポジウム・円卓会議と続いた話し合い解決のための道筋は全て示され、成田空港問題は社会的に解決された」との所見が発表された。運輸省・空港公団においても、「地球的課題の実験村」委員会の結論を踏まえ、環境や周辺地域の農業に配慮した空港整備を行うため「エコ・エアポート」の基本構想をとりまとめたところである。

(3) 地域と共生する成田空港をめざして

 これらの状況を踏まえ、運輸省・空港公団は、地域と共生する空港づくりについての具体的な全体像を示すため、「地域と共生する空港づくり大綱」を10年7月15日にとりまとめ、地域に提示したところである。
 今後とも平行滑走路2000年度完成をめざして、地権者の方々と引き続き誠心誠意話し合いを行うとともに、この大綱を地域も含めた共通の具体的指針として、最大限の努力を重ねていきたいと考えている。


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