4 関西国際空港の整備


 6年9月に開港した関西国際空港は、大阪湾南東部の泉州沖5kmの海上を埋め立てて建設された、我が国初の本格的な24時間運用可能な国際空港で、510haの空港島に3,500mの滑走路1本と旅客ターミナルビル等の施設で運営されている。
 関西国際空港への乗り入れ便数は、国際線を中心に急激に伸びており、開港前の大阪国際空港では6年8月時点で国際線28便/日であったが、関西国際空港開港時では国際線48便/日まで増加し、現在、10年7月現在の認可便数で国際線94便/日となっている。
 9年度の国際航空旅客数は約1,127万人であり、開港前の大阪国際空港の約2.1倍となっている。また、9年度の国際航空貨物は約64万トンであり、開港前の大阪国際空港の約2.5倍となっているとともに、全国に占めるシェアについても13.9%から25.5%に着実に増加しており、成田空港への一極集中の是正が進みつつある。
 このような状況の中、現在の滑走路1本のままでは21世紀初頭にはその処理能力の限界に達することが予測されている。このため、8年度から平行滑走路等を整備する2期事業に着工した。2期事業の内容は、現在の空港島の沖合に新たに空港島を埋め立て、4,000mの平行滑走路及び関連する諸施設等を整備するもので、総事業費は1兆5,600億円であり、1期施設とあわせて年間離発着回数23万回に対応可能な施設が整備される。
 2期事業の整備手法は、空港施設(上物)は1期と同様、関西国際空港株式会社が整備し、用地造成(下物)は関西国際空港株式会社と地方公共団体の共同出資による用地造成会社が整備する「上下主体分離方式」が導入されている。8年5月には「上下主体分離方式」を法的に位置付ける関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律が公布、施行されるとともに、8年6月には、用地造成主体である関西国際空港用地造成株式会社が設立され、運輸大臣が2期事業の指定造成事業者として指定した。これにより、関西国際空港は2期事業を推進する体制が整い、本格的な国際ハブ空港をめざすこととなった。
 8年度及び9年度は、空港計画調査や環境アセスメント等の実施設計調査を行った。現在は、19年の平行滑走路供用開始をめざして、これら実施設計調査の取りまとめ等を行うとともに、現地着工準備事業を行っているところである。
 また、関西国際空港の飛行経路については、昭和56年に地元に提示された計画案に基づく現行経路により運用されているが、現行経路では今後の増便が困難になっていることから、平成8年7月以来、運輸省は地元3府県(大阪府、兵庫県及び和歌山県)に対して飛行経路の現状と問題点について説明してきた。
 その後、地元において一定の理解が得られた状況を踏まえて、9年6月に地元3府県に対し、新たな飛行経路案を含む「関西国際空港の飛行経路問題に係わる総合的な取り組みについて」を提示し、10年2月及び4月には2度の実機飛行調査を行うなど地元への説明を続けた結果、8月までに、地元3府県から飛行経路の変更はやむを得ないとする回答を得たところである。今後は環境監視体制等を強化しつつ、10年12月に予定されている新しい経路の運用に向けて準備を行う必要がある。〔2−9−2図


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