有害紫外線から地球上の生物を保護する重要な役割をもっているオゾン層を保護するため、1985年に「オゾン層の保護のためのウィーン条約」、1987年に「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が作成された。その後も議定書の改正が行われ、オゾン層破壊物質の規制が強化されている。その結果特定フロンと呼ばれるCFC(クロロフルオロカーボン)、特定ハロン等の生産が全廃されており、主としてCFCの代替物質として用いられているHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)についても2020年までにほぼ全廃されること等が決定されている。
我が国においても、条約を遵守しオゾン層を保護するため、昭和63年に「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」が制定されている。運輸省においても、カーエアコン、業務用冷凍空調機器の整備廃棄時における特定フロンの大気中への放出の抑制指導及び回収の促進、船舶での特定ハロンの使用抑制について運輸関係業界へ指導を行っている。また、各種運輸関連施設・設備について脱特定フロン型設備への転換を促進するための税制上の特例措置等が講じられている。
気象庁では、札幌、つくば、鹿児島、那覇、南鳥島及び南極昭和基地においてオゾン層の観測を定常的に行うとともに〔2−10−2図〕、オゾン層破壊物質及び紫外域日射の観測・解析及び関連の研究を引き続き推進している。
気象庁の観測・解析によれば、平成9年には北半球高緯度域で春先にオゾン量の大きな減少がみられ、また、南極では前年に続いて過去最大の規模のオゾンホールが発生するなど、オゾン層の破壊が低緯度を除いて全球的に続いている。
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