第5節 自家用車と公共交通機関のバランスのとれた交通システムの形成


 安全性の向上と環境負荷の低減を図るためには、第3、4節で述べた施策と合わせ、自家用車と公共交通機関をバランスさせる都市交通体系の構築、都市内物流の効率化等を図っていく必要がある。
 このような観点から、運輸省は関係省庁と連携しつつ、10年度より「バス利用促進等総合対策事業」を実施している。これまでバス活性化システム整備事業として進めてきたバスロケシステム、ノンステップバス等の導入事業に加え、パーク・アンド・ライド、トランジットモール、コミュニティバスの導入等のソフト面の対策とハード面の整備とが一体となった交通システムの導入や、これらのシステム等を総合的に組み合わせてバスの社会的意義を最大限に発揮する街づくりを進める「オムニバスタウン」の導入について重点的な支援を行うこととしている。また、地域のニーズに合った形での効果的な導入を進めるため、実証実験等に対する支援を行っている。
 また、ITS技術を活用した都市交通関係システムとして、PTPS(公共車両を優先的に運行させるシステム)や、タクシーのGPS−AVMシステムの導入が進められている。
 安全と環境に配慮した新しい交通システムの構築の観点からは、時間帯別運賃・料金の設定、ロードプライシング、オフピーク通勤等、利用者サイドへの働きかけを行う交通需要管理(TDM)施策について、地域の実情に即した方式で地域のコンセンサスを得つつ推進していく必要がある。
 TDM施策は、交通インフラの新たな整備による交通容量の拡大が困難な中、交通総量を抑制したり、需要の平準化を図り既存のインフラの最大有効活用を図る方策として注目されており、施策の充実強化が必要である。


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