第8節 都市を支える物流機能の向上


1 国際海上コンテナターミナルの拠点的整備

 都市は、大生産・消費地であり、グローバリゼーションが進む中、大都市近郊に国際物流基地を整備し、その最大有効活用を図ることは、物流コストの削減、環境問題の改善等からも有意義である。
 国際海上コンテナ輸送は、我が国の外貿定期貨物量の約9割を占めており、中枢国際港湾においては、水深15mの大水深コンテナターミナルを早急に整備し、我が国の港湾の国際競争力の強化と、スケールメリットによる物流コストの削減等を図ることとしている。
 また、全国8地域の中核国際港湾においても、国際海上コンテナターミナルの拠点的整備等を進めることにより、中枢国際港湾への貨物の過度の集中を緩和し、国内輸送距離の短縮による物流コストの削減等を図ることとしている。

2 都市内物流の効率化

 都市内物流は、トラック輸送が中心的役割を果たしているが、自家用トラックから営業用トラックへの転換、輸送の共同化等による積載効率の向上を図る必要がある。こうした動きのひとつとして、商業業務集積地の近郊に共同集配センターを配置し、そこで貨物を集約し、トラックの積載効率を向上させる共同集配システムが整備されつつある。
 また、都市内物流の円滑化のためには、ビル内の荷さばき場の設置、貨物車専用パーキングメーターの設置など、街づくりの段階から人流だけでなく物流についても十分な配慮が望まれる。
 さらに、物流と地域住民の暮らしの共存という観点から、国の施策とも連携しつつ、地域自身の手により、地域における物流効率化についての総合的かつ計画的な取り組み推進方針(物流マネジメント計画)を策定し、豊かな生活づくり・街づくりに向けた総合的・計画的な取り組みを進めることが重要となっている。

3 外環型物流拠点の整備推進

 物流の効率化に資するシステム形成のひとつとして、環状道路のI.C付近においていわゆる「外環型物流拠点」を整備することが効果的である。これにより、幹線においてより大型の車両の導入が可能となったり、幹線物流における共同運行、都市内の共同集配の基盤施設として活用されることが見込まれる。

4 鉄道貨物輸送の活用

 鉄道貨物輸送は、中長距離輸送に優位性を発揮するが、最近は、トラック輸送に比べエネルギー効率にすぐれ、CO2やNOxの排出量が少なく、交通渋滞につながらない鉄道輸送の特性が地方自治体に評価され、生活廃棄物や建設残土の輸送で都市内あるいは短距離の都市間輸送を担うケースも出てきている。


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