第6章 安全で快適な車社会の形成


1 科学的な手法による安全対策の推進

 自動車交通における事故件数及び死傷者数は、近年一貫して増加傾向にあり、ここ10年間でそれぞれ約1.3 倍に増加しているなど、極めて深刻な状況にあることから、今後の自動車交通安全対策の進め方について運輸技術審議会における審議の結果、平成11年6月14日に「安全と環境に配慮した今後の自動車交通政策のあり方について」答申がまとめられた。この答申は、交通事故の深刻さについての再認識を求めるとともに、自動車交通安全対策を単なる精神論ではなく、事故実態の把握を中心とした科学的な手法により進めることを求めており、自動車交通安全対策のサイクル(「低減目標の設定」→「対策の実施」→「効果評価」)を、総合的に、また、分野毎に繰り返し行っていくべきことや、2010年(平成22年)を目途に運輸省の施策により死者数(事故後30日以内の死者数)を1500人削減すべきとする低減目標の設定など、様々な新しい視点が盛り込まれたものとなっている。


 今後、運輸省では、この答申を踏まえて、自動車事故対策パイロット事業(陸運支局を活用した事故情報の収集及びその分析・活用)の実施、(財)交通事故総合分析センターの一層の活用等による事故情報の収集・分析・活用の充実、運行管理制度の充実をはじめとする事業用自動車の安全対策の推進、事故実態を踏まえた自動車の安全基準の拡充、先進安全自動車(ASV)の開発促進などITS技術を活用した安全対策の推進、自動車アセスメント(自動車の安全性評価及びその情報提供)の充実等によるより安全な自動車の開発、普及促進等の諸施策を積極的に展開する。
 また、自賠責保険制度のあり方の見直しについては、「今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会」(運輸大臣懇談会)が、交通事故被害者の保護を重点に、自賠責保険制度の見直しについて検討を行い、11年9月末に報告書を取りまとめた。報告書の主な内容は以下のとおり。
 @強制保険等自賠責保険の基本的枠組みは維持、A政府再保険の見直しは、被害者保護の充実等5つの条件の確認後に結論を得る、B被害者保護の充実、C政府再保険手続の簡素化、D政策支出の見直し・改善
 運輸省では、報告書を踏まえ、交通事故被害者の保護を充実させるための施策に取り組む。

2 利用者ニーズに対応した輸送サービスの確保


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