第8章 21世紀に向けた港湾


1 21世紀に向けた港湾の整備・管理

 近年、産業経済のグローバル化の進展や地球規模での環境保全・創造に対する認識の高まり、さらには地方の自立や個性ある地域づくりといった経済・社会の大きな変化の中で、港湾行政についても、21世紀に向けて大きな変革を遂げることが求められている。
 こうした状況を踏まえ、平成10年11月に運輸大臣から港湾審議会に対して「経済・社会の変化に対応した港湾の整備・管理のあり方について」諮問が行われ、11年7月に中間報告がとりまとめられた。
 この中間報告では、21世紀における港湾が、海陸を結ぶ輸送拠点や、個性ある地域づくりに資する空間としての役割を果たすとともに沿岸域の環境保全・創造への貢献をしていくために以下の4つの取り組みの必要性が提言された。
@全国的・広域的な視点に立った取り組みの強化
A地域の主体的な取り組みの支援と強化
B環境の保全・創造のための取り組みの強化
C港湾行政の透明性、効率性等の向上
 今後は、11年末を目途に答申を得る予定としており、この答申を踏まえ、港湾の整備・管理のあり方について具体的な対策を講じていくこととしている。

2 港湾諸手続の情報化(EDI:Electronic Data Interchange)の推進

 我が国においては、港湾における通関手続を電子情報処理化する海上貨物通関情報処理システム(Sea-NACCS)が、3年より稼働しているところであるが、港湾管理者・港長に係る港湾諸手続については、アジア諸国を含む海外主要港に比べ、EDI化が遅れており、9年4月に閣議決定された「総合物流施策大綱」においては、港湾諸手続のペーパーレス化、ワンストップサービスの実現をめざすこととされている。


 このような状況を踏まえ、11年10月には港湾管理者・港長に係る港湾諸手続をEDI化するための港湾EDIシステムも稼働を開始したところであり、今後も、サービス内容の充実を図っていく。

3 効率的な港湾整備を支える港湾技術の開発

 8年4月に港湾の技術開発五箇年計画を策定し「大型港湾構造物の建設費の縮減」を重点テーマに盛り込んだことを受け、防波堤等の建設コストを10%以上縮減することを目標とした技術開発を推進している。11年4月には、新しい技術的知見の蓄積やリサイクル材の活用等に対応するため、「港湾の施設の技術上の基準を定める省令」を改正するとともに「港湾の施設の技術上の基準の細目を定める告示」を定めた。

4 安全で親しみやすい海辺の生活空間づくり

 近年、海岸においては、油濁事故による汚損の問題や生態系の保全の問題等が生じており、防災の観点のみならず、環境保全と海岸の利用が調和した総合的な海岸の保全を行うことが必要になってきた。また、海岸行政における国と地方の役割分担の明確化、効率性・透明性の確保、地域の意見の反映といった点についても、従来以上に強く求められてきている。
 このような新しいニーズに対応するため、11年5月、海岸法の一部を改正し、砂浜の保全・回復を推進する等環境の維持に係る規定を拡充するとともに、海岸保全、計画制度の見直し、海岸の管理への市町村の参画の推進等が行われることとなった。

5 エコポートの形成に向けた環境への一層の配慮

 11年6月の環境影響評価法の施行や、近年の環境保全に対する市民意識の高まりなどを踏まえ、港湾整備の実施に当たっては、より一層環境に配慮して対処していく。

6 プレジャーボートの係留・保管対策の推進

 海洋性レクリエーションの進展とともに港湾をはじめ公有の水域に放置されるプレジャーボートが増加してきている状況に対して、係留・保管能力の向上に努めるほか、10年3月の運輸省、水産庁、建設省の3省庁共同調査による提言及び11年7月の港湾審議会管理部会の中間報告を踏まえ、港湾における適正な規制と管理を基本とした対策を講ずるべく検討している。


前へ戻る 表紙へ戻る 次へ進む