1 貨物・輸送
(1) 輸送網の現状
昭和38年度における貨物輸送需要は, 〔I−(II)−1表〕のとおり,35年度と比較して,輸送トン数では1.68倍,輪送トンキロでは2.02倍に増加している。これに対応して輸送力は 〔I−(II)−7表〕のとおり,著しく増加を示している。
以下路線トラック,地場トラック,自家用トラックの別にその現状をみることとする。
イ 路線トラック
路線トラックは,一定の路線を定めて定期的に輸送を行なうものである。その免許キロは、 〔I−(II)−7表〕のとおり,37年度においては,約22万キロで35年度の1.14倍となつており,年々増加の一途にある。つぎに運行系統数(200キロ以上)を見ると, 〔I−(II)−8表〕のとおり,35年度には701系統であつたものが37年度には1.43倍の1000系統となつている。
このうち運行系統が401キロ以上のものが構成比において4.1%増加しており,運行系統の長距離化がうかがわれる。車両数も35年度の148倍に増加しているが,事業者数は,35年度末に533であつたものが38年度末には505となり,28業者減少しているのが注目される。これは企業の合併及び譲渡によるものであつて,免許キロ600キロ以下のものが減少し,601キロ以上のものが増加していることおよび1事業者当り平均保有車両数が35年度末に33両であつたものが37年度末で57両に増加していることから見て,漸次路線事業の重点は大規模事業者による中長距離輸送にうつりつつあるととが察知される。
ロ 地場トラック
路線トラックに対して,一定の事業区域を定めて貨物を輸送するものを「地場トラック」と呼んでいる。その車両数は,38年度末において35年度末の1.33倍となつており,事業者数も35年度末に1万4400であつたものが38年度末においては1万8700となり著しい増加を示している。
ハ 自家用トラック
車両数は38年度末には35年度末の1.66倍,走行キロは38年度には35年度の1.96倍と著しく増加している。
(2) 高速道路における輪送
昭和39年9月名神高速道路が事実上全通し,東名道,中央道の二高速道踏も現在建設中である。
このように国土を縦貫する高速自動車道路がつぎつぎと建設されると,トラックにおいても,長距離,高速,大量輸送が可能となり,輸送体系が大きな変革をとげることとなろう。高速道路においては,燃料費,タイヤチューブ費,車両修繕費が軽減され,大型車の使用,高速運行が可能となるので,輸送効率が向上する。しかしながら,高速道路のトラック輸送が軌道にのるためにはつぎのような要件が必要であろう。
イ 大量輸送を行なうために車両を大型化する必要があるが,車両を大型化すると在来道に引き続き同一車両で運行することが困難となるのでインターチェンジ附近に適正規模のターミナルを設け高速道路専用車と集配車を分離して運行の合理化をはかること。
ロ 高速道路専用車と集配車を分離した場合,機動性,迅速性というトラック輪送の特性が減少しないようにフォークリフト荷役,パレット輸送,コンテナ輸送を行なう等,一貫輸送システムを採用すること。
ハ 大量輸送需要が存在すること以上の問題の解決は今後に残されている課題であり,とれらの問題を解決することにより高速道輸送は地域間輸送の重要なパイプとなるであろう。
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