(1) 普通倉庫
昭和38年度末の保管面積は,690万1000平方米であり,37年度末の保管面積653万4000平方米に比較して36万7000平方米,5.6%の増加を示している。38年度における施設の整備のうち特筆すべきものとしては,横浜港の山下ふ頭および一文字ふ頭,大阪港の雑貨ふ頭,神戸港の第八突堤に大規模な臨港倉庫群が建設されたことおよび名神高速道路のインターチェンジ附近にターミナル倉庫の建設が開始されたことをあげることができる。
倉庫施設の整備は, 〔II−(III)−30表〕に示すとおり毎年僅かずつではあるが進捗しており,30年度末の保管面積に対し38年度末は1.39倍となつている。ところで 〔II−(III)−28表〕のとおり,30年度末の保管残高に対し38年度宋は2.14培となり,保管残高の伸びに比較して施設の整備が著しく立ち遅れていることがわかる。
普通倉庫の利用率(保管面積のうち保管されている貨物の占める面積の割合)は,保管のための通路荷さばき場等を考慮して通常65%が適正であるとされているが, 〔II−(III)−30表〕に示すように,ここ数年間は70%前後であり,特に主要港湾地帯においてこの傾向が著しい。このことは庫腹不足のため通路,荷さばき場等が保管場所として利用され,保管が相当無理な状態で行なわれていることを物語るものといえる。
このような庫腹の不足は,ここ数年来特に顕著となつており,最近問題となった港湾における船混みも庫腹の不足がその一因であると考えられている。このような慢性的な庫腹の不足に加えて,わが国の貿易の拡大および港湾整備計画の進行に伴い港湾取扱貨物量の増加に見合う膨大な臨港倉庫の建設が必要とされている。さらに,流通機構の整備および高速自動車道の建設に伴い,大都市の周辺部および高速自動車道のインターチェンジ附近に大規模なターミナル倉庫を建設する必要に迫られている。また,現在大都市の都心部にあるいわゆる都市倉庫は,路面交通混雑の影響を受けて貨物の輸送および荷役が著しく困難となりいわゆる陳腐化現象が急激に進んでいるが,これらの倉庫を郊外に移転させることも重大な問題となつている。したがつて,過去におけるような庫腹整備の立遅れが将来も続くとすれば,輸出入貿易の拡大および円滑な物資の流通を阻害し,物価高騰の原因ともなり,ひいてはわが国経済の発展に支障をきたすものと憂慮されている。現在庫腹増強のための対策を至急に講ずることが強く要請されているということができる。
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