(3) 水面倉庫


  昭和38年度末の保管面積は,184万8000平方米であり,37年度末の保管面積152万7000平方米に比較して32万1000平方米,21・O%の増加をみた。 〔II−(III)−28表〕に示すように昭和30年度末の保管残高に対し昭和38年度末は3.6倍にもなっているが,この間庫腹の整備は 〔II−(III)−30表〕にみるとおり,ほとんど行なわれなかったということができる。このため,東京,横浜,名古屋,大阪等の主要木材輸入港においては深刻な庫腹不足に悩まされており,数年前から大規模な水面倉庫の建設が進められ,39年度以降徐々に完成する予定である。しかしながら,今後も相当な木材輸入量の増加が見込まれており,ここ当分は庫腹不足の状態が続くものと考えられる。第4節 施設整備の問題点
  以上述べたように施設の整備は著しく立ち遅れているが,このような事態を招いた原因として建設資金の調達難と倉庫用地の確保難をあげることができる。倉庫の建設は,もともと膨大な資金を要するものであるが,最近の建築資材および人件費の値上りの結果,倉庫の建築単価は年々上昇する傾向にある。一方,建設資金源の中心をなすものは倉庫保管料収入であるが,倉庫業の公共性のゆえに現行保管料率は昭和32年以降据え置かれており,新設倉庫の採算割れ,金利負担の増大等とあいまつて新規設備投資をますます困難にならしめている。さらに相次ぐ設備投資の結果,借入金は累増し,倉庫業者の借入能力もほぼ限界に達しており,財政資金の融資も年々増加はしているが,なお十分な額とはいい難い状態にある。また,倉庫業は他産業に比較して全資産中に占める固定資産の割合はきわめて高く,固定資産税,不動産取得税等の負担が著しく過重であることも否定し難い事実である。
  つぎに倉庫用地についてみるに,現在,東京,大阪等の都心部における倉庫の陳腐化現象にみられるごとく,倉庫の立地条件は倉庫経営にとつて致命的なものであるということができる。ところで,現在倉庫適地とされているものは,港湾埋立地,大都市周辺における道路網の中枢部,高速自動車道のインターチェンジ附近等限られた場所であるが,これらの場所が工場,住宅等にとつても適地であるところから近年急激に値上りしており,倉庫経営の採算点を上廻る状態にある。倉庫業者は適地の確保に非常に苦慮しているのが現状である。
  以上のような事情から判断して,倉庫保管料の適正な改訂,財政資金の大幅な増額,固定資産税,不動産取得税等の減免および地価の低い倉庫用地のあつせん等が庫腹増強のため早急に具体化すべき対策であるといえる。また,最近,東京,大阪等の大都市周辺に造成される流通施設団地に倉庫業者が共同で大規模なターミナル倉庫を建設し,土地利用の有効化と建設資金の効率化を図る方策が論議されているが,将来における倉庫建設の新しい方向を示すものとして十分検討に値すると考えられる。


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