1 運営路線


  わが国の国際路線は,全日本空輸(株)が沖縄線を運営しているほかは,日本航空(株)が独占的に運営している。
  昭和43年3月現在のわが国の国際路線運営状況は, 〔III−4表〕のとおり28路線週91往復で,前年同期に比べると7路線21往復の増加となつている。これは42年度に東京-モスクワ線(週1往復)が日本航空(株)とソ連のアエロフロートとの共同運航方式で開設されたのをはじめとして路線構成の多様化が図られるとともに太平洋線,東南アジア線等で大幅な増便が行なわれた結果である。
  太平洋線およびニューヨーク線においては,ホノルルの著しい需要増に対処するため,42年4月から東京-ホノルル折返し便週7往復が追加され,合計便数は週27往復(うちニューヨーク線7往復)となつた。
  なお,43年8月現在においては,これらの路線で合計週41往復運航されている。
  大西洋線については,42年度中は42年3月開設時の便数週2往復で運航されていたが,43年7月からは新たにニューヨーク-パリ線週2往復(7月および8月は週5往復)が開設された。
  北回り欧州線については,ロンドンおよびパリの需要増に対処してこれら2地点への寄港回数を増加させ,42年度は前年度より1往復増の週6往復が運航された。なお,43年5月からはさらに週1往復増便され,週7往復となつた。
  東南アジア線,沖縄線および韓国線については,日本航空(株)関係についてみると,42年5月に東京-香港-バンコック-クアラルンプール線(週1往復,43年4月からはシンガポールまで延長),9月に大阪-ソウル線(週2往復および福岡-釜山線(週3往復),11月に東京-大阪-台北-マニラ線(週3往復)がそれぞれ開設され,路線構成の多様化と既設路線の増便が行なわれた。その結果,これらの路線全体としての便数は,41年度週34往復から42年度週45往復(うち沖縄線および韓国線合計15往復)に増強された。なお,同社は,43年8月現在これらの路線で合計54往復運航している。
  また,全日本空輸(株)関係では,43年1月から鹿児島-沖縄線を週6往復増の週9往復に増強した。
  機材面についてみると,日本航空(株)は,42年度にDC-8型機を前年度対比2機増の17機,CV-880型機を5機国際線に投入した。
  なお,日本航空(株)が44年度以降の国際線用機材として現在までに発注しているものは,現用のDC-8型機より大型のDC-8-60シリースが11機,DC-8型機の3倍の輸送力を有する巨人機B-747型機が6機,超音速機が8機(U.S.SST5機,コンコード3機)である。
  つぎに,IATA輸送ランキングについてみると, 〔III−5表〕のとおり日本航空(株)は,41年においてIATA加盟101社中9位にランクされ,前年より2位上昇してベストテンの中に入ることとなつた(42年速報によれば,さらに1位上昇して8位となつている。)。また,日本航空(株)の有償トンキロの伸び率は,対前年比37.7%で101社の平均伸び率20.1%を大幅に上回つている。

  しかし,ICAO加盟111カ国の航空会社の営む国際航空運送事業における輸送量という面からみると, 〔III−6表〕のとおり座席キロで2.9%人キロで2.8%を占めるにすぎない。東京が世界航空路の要衝であること,日本経済の世界に占める地位の向上により他国との交流がますます盛んになつていること等を考慮すると,現在のシェアはまだまだ低く,今後より一層の努力が望まれる。


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