2 貨物輸送サービスにおける情報処理システム
(1) 国鉄の地域間急行貨物情報システム
今日の貨物輸送においては,到着日時の明確化と速達とは不可欠の条件となつている。国鉄では輸送方式の近代化策として,これらの条件を満たす列車の拡大を推進しており,43年10月に発足した地域間急行列車は,小量で分散的な一般車扱貨物の速達と到着日時の明確化を図ることを主眼とした輸送方式である。この列車の輸送方式の仕組みを支え,荷主に良質なサービスを提供し,列車の販売を促進するため,コンピューターを利用した,地域間急行貨物情報システムが実施された。
コンビューター処理対象列車は,43年10月に86本であつたが,45年6月には145本に拡大している。
この列車は,いわば貨物の座席指定列車ともいうべきもので,同一方向の貨車をローカル列車により地域単位でとりまとめ,一列車に編成し,地域間相互は急行運転により輸送時間の短縮を図るとともに,コンピユーターは,列車ごとの申込受付状況,貨車の連結状況等を全区間にわたって把握しており,貨車が着駅に何日の何時に到着するかが前もつて明らかとなる仕組みである。その概要は 〔2−2−7図〕のとおりである。
(2) 海運におけるコンテナのコンピューター・コントロール・システム
国際化の進展にともなって国際競争が激化してきているが,これまでの販売競争,技術競争から経営システムの競争の時代へと移りつつあり,海運各社にとつてはコンテナ輸送が経営システムの競争の中心であるといえる。コンテナ輸送が輸送革新の旗手であるといわれるのは,従来の包装,荷投,輸送,保管などの物的流通活動に,通信,コンピューターによる情報活動が加わり,物と情報の流れの本化によつて,新しい輸送方式の開発へとむかつているからである。
コンテナ輸送でコンピューターがコントロールするものは,大別して2つある。一つは,コンテナ貨物のコントロール(フレート・コントロール)で,これはコンテナの貨物の詰合せ,ヤードにおけるコンテナの配置,本船へのコンテナの積込み,ドキユメント類の作成,社内運賃勘定処理,諸統計の作成につながるものである。他の一つは,コンテナ・バンそのものの追跡(イクイプメント・コントロール)であって,コンテナ・バンを適時に適所へ配置するためには欠くことのできないものである。この2つをむすびつけたコンテナのコンピューター・コントロール・システムは 〔2−2−8図〕のとおりである。
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