(2) 交通混雑による流通機能の低下防止


  以上述べたように大都市を中心に路面交通の混雑は緩和のきざしすら見せていない状況である。
  このような道路混雑により,都市における消費物資の流通機能には 〔2−2−6図〕貨物集配機能の低下にも見られるように年々悪化してきている。大都市地域は大量生産地であると同時に大量消費地でもあり,都市機能の維持確保のためには流通機能は最も重要な問題の一つであるといえよう。

  従来,都市においてはトラツクターミナル,鉄道貨物駅,倉庫,問屋,市場等の流通業務施設が都心部に無秩序に集中していたため,交錯輸送を含めた都市内の貨物輸送は増大し,輸送効率を悪化させている。
  そこで,これらの諸流通業務施設を計画的に都市周辺部に集約的に配置することにより,流通機能の向上が図られており,札幌,東京(京浜二区,板橋),大阪(東大阪),福岡等の都市において流通業務団地が整備されてきた,また,これと同時に各企業においては配送センターの整備を進めており,今後これら個別に行なわれている配送センターの整備を都市交通全体の観点から総合的に整備するための対策を考えなければならない。
  また,これらの諸施策により流通機能の向上が図られてきているものの,長期的には不十分であるために,各種輸送機関を有機的に連絡し,貨物の処理を総合的かつ効率的に行なう「複合ターミナル」の建設が計画されている。


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